
Pentax MZ-3 / Pentax smc-m 50mmf1.7 / Centuria100
列車が駅に着いた途端、ギクリとした。
文庫本に落としていた視界の端に、突如、巨大な男の……それも奇怪なまでの嗤い顔が入り込んで来たからだ。
男の見開いた目とこちらの目が合った瞬間、あの真っ白い巨大な歯、上下に並ぶそれがグワッと開いて、自分を含む乗客の上半身を次々噛み千切りやしないだろうかという恐怖を感じた。
男の目はその瞬間も見開いたままだ。白い歯だけが血に染まる。
……全てくだらない妄想。センスの悪い広告のもたらす悪趣味な錯覚。
そう確認するため、持ち合わせていたカメラを構えた。
ピントリングを回す。
ファインダーごしに、嗤う男と目が合った。