2015/04/30//Thu.
こんどこそ、ほんとうに、さようなら ?
hasaki1512.jpg
A30

写真を撮ることしかできない機械たち。
(先日カメラの話題を載せたばかりですが、4月の終わりに今一度)

フィルムの金属製カメラには、「機械」という言葉がしっくりくる。
露出の電子化とか、そういう進歩は取り入れていたりもするけれど、ギアが噛み合ってバネが戻って……と、いちいちの動作のつながりが伝わってくるところが、なんとも「機械」という感じがする。
そういうところが好きだったな。

わざとらしくも過去形で書いているけれど、今はもう結構、それも仕方ないかなと感じてしまっている。

きっかけというか、トドメと言おうか、結局それはイルフォードのフィルムの急激な値上げだった。
いつかはあるだろうとわかってはいたけど、自分はそれを事前察知できなかった。
この4月からだったんだね。
知らないでいつものようにフィルムを買おうとして値段を訊いた時の衝撃ったらなかった。
HP5+なら、まだ辛うじて600円台で買えると思っていたら、いきなり1000円突破。
デルタなんか1200円、どういう値段だそれは? と、腹でも殴られたような気分になって、旅行用にと思って伸ばした手も、思わず引っ込めてしまった。


フジはもう過去のもの(プレスト400終了の後味は最悪だった)、コダックは爆発的値上げ済み、そしてイルフォードも、と来たら、もうすがるものが無い。
好きなら続けるべきとは思うし、思いたいけど、限界はある。
フィルムそのものも好きだけど、それより僕は、フィルムで自由に写真を撮るということが好きなんだよ、だから大判じゃなくて135を使ってるんじゃないか。
この値段じゃ、その一番の魅力、一番の動機が完全に殺されてしまう。

ゆっくり、一枚一枚大切に大切に撮るスタイルに切り替えて続けて行く。
そうせざるを得ないんだろうが、それはちょっと違うんじゃないか、と、これまで一緒にやってきた銀塩カメラたちが言ってるのが聞こえるかのようだ。
うちにあるカメラはみんな小型軽量で、丈夫で、荷物の隙間に突っ込んで旅に連れて行ったり、望遠よりも広角レンズが似合ったり、グリップを掴んで片手で撮ったりするのが得意なものばかりだ。
好き勝手下らないものを撮って、家事の合間に現像して、一本の中に1、2コマいいのを見つけて喜ぶみたいな、そういうのが日常だったのに、それじゃあ、写真そのものを変えるって言ってるようなもんだろう。

……言ってみて、しかし、ここのところ、そんな写真生活とは縁遠くなっていたことは認めなければならない。
東京から離れて、近辺の店にはどこにもモノクロフィルムなんて売っていやしない。
通販でコンスタントに買えば良かったのかもしれないが、好きなフィルムはどんどん絶滅していったし、値段優先で妥協して、それで果たして好きなことをやっていると言えるのか、撮っていても、その足枷がはまっていることをいつも感じないわけにはいかなかった。

新宿で毎日のようにスナップしていた頃、プレストの1600を30本入りの箱で買うと、7000円かそこらだった。
一本233円か。
フィルム晩年、それでも高くなったと言われていたのかもしれないが、好きなフィルムを自分の小遣いで好きなだけ買えた。
だから僕はフィルム写真が好きになれたのだろうし、あの頃は、実際、楽しかったよな。


こう言うと軽蔑されるかもしれないが、これだけ明確な数字を突きつけられてフィルムを辞めると言えることには、一方でちょっとホッとしていたりする。
じわじわ天井知らずに上がり続けて行くコストを支えながら、それでもフィルムが好きです、支えて行くんです、なんて言うのは、針の筵ってもんだろう。
このコストってのは、金銭だけではなく、精神的なコストでもあると思う。
いっそもう言ってしまいたかったのは確かだ。
これじゃできない、すまん、もう無理だよ、と。



だが……それでも往生際悪く、タイトルの最後には「?」を付けずにはいられなかった。
予想がつかない未来なんて普段は憎むことの方が多いんだけど、時にはちょっとだけ期待してみたくもなるじゃないか。

気候が変わって食うものがなくなって恐竜は絶滅しましたが、しばらくして(人間の歴史なんて恐竜のそれにしたら「しばらく」程度だ)そのDNAをどうこうしたら、何だかまたこの世に復活しました。
……そういうことが起きないとも限らないと、言ってみたいのだろう。
それが我が日本のかっこいいハイテクで成し遂げられれば言うことはないのだけれど、それまでの間、ひょんなことで手に入るフィルムがあるならば、産地は問わずもちろん使って行きたいとも思う。

デジタルで写真をつづける。
少し安心していることには、デジタルカメラにもそれなりの歴史の厚みってもんが出てきたのだろう、変なカメラや一長一短もちゃんとあるし、撮るということの実感も年々良くはなっていると思う。
それでも、LXの世代のフラッグシップ機を超えるようなカメラってのはまだ出てないと思うのだけれど……これはもう存在軸がズレてるというか、そういう変な超えられない壁になっちゃってるんだろうな(苦笑)。

書いたらすっきりしてきたので、この辺でやめるとします。
フィルムよ、ありがとう。
忘れないし、捨てないよ。
これまでのも、これからのも。
だけど一度、今はさよならだ。

>> 2015/04/30 21:39
お気持ち、よ~く察します!
とりあえず「さよなら」と言える勇気に惚れ惚れしますよ。
同じようなことを私も考えたことがないと言ったら嘘になりますからね。
私は今のところは今後もフィルムは続けます。
しかしそれも富士フィルム次第かも・・・。
コダックやイルフォード並みに値上がりしてしまうと写真そのものが楽しめなくなりますからね。
平行して少しずつデジタルに慣れていかないと(汗)。

>> 2015/05/01 07:03
RYO-JIさん>
もちろん、予想外に安く手に入るフィルムがあるとか、予想外に僕の給料が高くなるとか、そういうことがあれば、僕も今後フィルムを再開する可能性はあると思います。
でも、一応今は一本線を引いてみるべきかと思ってですね。
高いコストを払った上、複数の点で妥協してやっていかないといけないというのは、(書いたことですが)なんだかちょっと納得いかないし、これまでももう、それは十分やってきたと思うので。
アナクロニズムであるからこそ、胸を張って「100%好きだからやってんだ」と言いたいところです。
義務感じゃなくてね。
カメラは断然フィルムカメラのが好きなんですけどね……。
そういう人は多いと思いますね。
>> 2015/05/03 04:12
こんばんは。
 リバーサルフィルムかと思う値段になりましたね。
 いろいろブログを見ておりますと、フィルム派の方々は多く、、。
 いや、選んで見てるから多くいるように思うだけですね。
 イベントなど人の集まるところに来られるアマチュアカメラマンはほぼ、デジタル機を携行していますね。 
 ピントや露出、フィルムの感度を考えたりする事は無く、キレイならいいんだという時代のデジタル写真が席巻していて、個性といいながら無個性な写真が量産されている気がします。
 
 
>> 2015/05/03 23:56
そうなんだーーー
狛さんのフィルム、好きだよ。
質はどうかわからないけれど、ロモが出してるモノクロはそんな高くないよ。
・・・って揺るがしてみたり(笑)

佐渡、私も行ってみたいです。
写真楽しみにしています!
>> 2015/05/05 18:56
haradaさん>
こんにちは、はじめまして。
はじめましてを言うのがこのような記事で、どうもすみません。
と、僕が謝るというのもなんか変な気がしますが。

フィルム派が多いというのは、間違いなく、我々がそれをテーマとして見ようとして見るから、そう感じるということでしょうね。
まあ、写真の個性というのは、本来機材で出すものではないでしょうから、デジタルだーフィルムだーなんて言ってんのも、もう古い価値観だと思っています。
それよりもフィルムで撮ってるってことが自分の個性だと信じ込んでしまうのが怖いですね、どっちかというと。

なーんて、別に他人とかぶろうとどうだろうと、楽しけりゃいいです、競争じゃないんですから。
理屈なく兎に角キレイなんだったら、それはそれでいいとも思いますけれどもね(笑)。
>> 2015/05/05 19:01
ラサさん>
そう言われると、弱いですよ、僕は……。
長く使ってきたんだもの、嫌いになんてなれないですよ、だから、フィルムも……できるなら……できるなら……ロモ?
ロモって、あのウクライナ……あ、これ?
え……

とりあえず、2個注文しました(←?)。


佐渡、良かったですよー!
島ってのは、やっぱりあの独特な空気がね。
写真をまとめるのも楽しみのひとつです。
やっぱり旅はいいなあ(笑)。

>> 2015/05/08 01:46
しばらくフィルムコーナーからも遠ざかっていましたが、そんなことになっていたんですね。
数ヶ月前ビックカメラを覗いた際、モノクロ最安がロモグラフィーだったので「!?」って感じではありましたが。

まあ我々は1日に10本撮るだの、アホみたいに同じ木を何度も撮ったりだの、このクソ重い機械たちと親密な時間を過ごすことが出来ただけ幸せだったのだと思います。

少しずつフィルムカメラを手放しては来ましたが、本当に大切な1台だけを残してあとは処分しようと思います。カメラをただ棚に盆栽し続けるよりは、大切に使ってくれる誰かの元へ旅立って行ってほしい。
>> 2015/05/08 06:55
to-fuさん>
僕もここ二年、気楽に寄れるフィルム売り場の無い暮らしをしていたので、愕然としました。
まるでもうやめろと言われてるような気さえしたのです。
ロモは使ったことがありませんが、まだISO400で撮れるのであれば使ってみようと思いました。
一本1000円になってしまったものは、もう「使える」「撮れる」の範疇には入らないと思います……。

確かに、今となっては、一昔前を幸せだったと回想するようになってしまいました。
軽いのがいいぜとか言ってジャンクの芋コンパクトを拾ってみたり、いかに確実に、どんな変な状況でフィルムを取り替えられるか、とか、そういうこともありましたっけね。
フィルムカメラの機械の重さ、何本ものフィルムのかさばりと重さ……。

GRシリーズの何かか、イコンか……to-fuさんの場合、最後に残る1台は何になるのでしょう。
ただまあ、こんな我々が別れを告げようという状況で、よりよく使ってくれる里親に巡り会える可能性というのも少ないかなとも、僕は思います。
ライカやハッセルならまだしも、ペンタックスはなおさらです(笑)。








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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

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・写真展(2013.2)・
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