2015/08/02//Sun.
巨樹を訪ねる 府馬の大楠
huma1501.jpg
MX-1
DP2 Merrill / 30mmf2.8

 日帰りのドライブ半径でも想像以上に色々な巨樹を訪ねることができるのだと、写真に撮り始めてから知りました。
 「府馬の大楠」の名前は、こちら地元の人ならわりと知っているのですが、さて実際に見に行ったことがあるかというと、これが案外そうでもない。
 戦国時代の城塞の跡だという小高い山の上にあり、登り口も自動車で入るのが躊躇われるような狭さというのが原因ですが、いざ行ってみたら、ただもう、すごかった(笑)。

 まるで岩の塊のようにごつごつとした幹、何もかもをも鷲掴みにしてしまいそうな根……遠方からでも見に来るべき、堂々たる巨樹でした。

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 府馬の街中から案内板に従って直角に折れると、急激に道が狭くなり、かつ登り坂に。
 この段階ですでに車体が大きいと厳しいのですが、そこからしばらくクネクネカーブが続き、道幅はさらに狭くなります。
 山の裏側から攻めると駐車場もあったような気もしますが、するとなると、歩いて山を登らないといけないわけで(苦笑)。

 農家さんの家の間を抜けるような、おいおい大丈夫かよというような道を行き止まりまで行くと、そこがかつての城塞跡、現在は宇賀神社です。
 ちょっとした石段の上にある神社の鳥居を仰ぎ見ると、もうその奥に、驚愕せずにはいられないような巨大な「大楠」の姿が目に入ります。

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 神社であることも忘れ、思わず駆け寄ってしまいました。
 「大楠」と言う名で大変古くから知られていたせいで、すっかりクスノキであると思われていた(初期の記念物認定では楠での登録になっていたらしい)のですが、昭和44年の再調査でクスではなくタブの樹であったことが判明した、とのことです。
 「波崎の大タブ」もそうでしたが、横に広く枝を伸ばす性質があるようです。
 平成25年の台風26号で片側半分の大枝が折れたようで、アンバランスな姿ですが、治療を受け、残った枝葉は青々と茂っていました。

 お役所のランキングでは、日本で第2位のタブの樹だということです(波崎の大タブはそれに継ぐ3位)。
 地元にそんなすごいのが2本もあるなんて誇らしい。
 1位ではないものの、樹齢ではこちらのがはるかに上ですし(巨樹のランキングは幹周りの太さによる……が、この計測結果にも諸説ある)、第一「府馬の大楠」は国指定の天然記念物です。
 どうだ、すごいな。

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 城塞の敷地であったと思われる裏手は、今は整備された広場になっており、訪れたときはふかふかのクローバーで埋め尽くされていました。
 小高さを活かして展望台のようなものが作ってあり、巨樹も上から見ることができます。
 上から見ると、さらに驚きます。
 まるでも何も、これは森だ!

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 一本の樹でありながら、ひとつの森。
 えっ、隣にもでかいのが生えているじゃない? と思われるかもしれませんが、驚くことなかれ、隣の「小クス(といってもこれも大木)」は、もともとは大クスの枝が垂れ下がって根を張ったものなんだそうです。
 つながっていた部分の枝が折れたせいで別の樹になってしまいましたが(明治時代)、すごい、そういうこともあるんだな……。
 鳥居の背後を固めるかのような位置にも背の高いタブが生えていますが、これも子孫でしょう。
 こうして森はできていくんですね。

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 裏手から。
 この周辺環境がとてもよく整備されており、地元の人に大事にされていることが伺えます。
 こんな立派な地元のシンボルツリー、それはそれは誇らしいことでしょう。
 トトロでも何でも棲みつきそうですもんね。

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 それ自体、普通の樹の幹一本分くらいある重そうな枝も、コンクリートや木製の支柱で支えられています。

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 宇賀神社の社と。
 樹齢は1300年から1500年、詳しくはよくわかっていないようです。
 府馬氏が初めて城を築いたのが1320年頃だそうで……うーんと、ということは、その頃にはすでに樹齢700年?
 つまり、大木があったところに城を作った、という順序なわけですね……。
 周囲には奈良時代や弥生時代の遺跡も出ているらしく、そういう社会光景をずっと見て来たのだと思うと、我々人間としてはただ気が遠くなるばかりではないでしょうか。

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 神社の隣には大楠の写真やチラシなんかを置いてある情報センター的な小屋もあります。
 その中にあった「タブの樹番付」。
 これだと我らがタブの樹は両大関というとこですね(笑)。
 うーん、タブの樹界、盛り上がってるな。

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 再び、周囲を回ってみます。
 複雑な形をしており、見ていて飽きません。
 折れた枝の途中からも垂直に枝が登り(これは幹?)、その先からまた青々とした枝が出ています。
 長い長い寿命の中、形をどんどん変えながら生き方を探す……それがタブとかクスの生き様のように思えます。
 別の写真に写りましたが、裏側の根元では、1700年頃の石の祠が根に呑み込まれようとしています。

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 おまけ。
 お社の隣に、こんなばかでかい椿の樹も!
 これもなかなか……。

 周囲環境の素晴らしい居心地の良さ、生きる気力をもらえるような「大楠」の存在感に、また是非再訪しようと思ったのでした。



huma1511.jpg

「府馬の大楠」
千葉県香取市府馬
樹齢:1300年
樹種:タブ
樹高:20メートル
幹周:9.5メートル

>> 2015/08/02 21:46
樹齢1300年ですか!
流れる月日を想像するだけでこの圧倒的な存在感も頷けますねぇ。
番付表があるのも面白い(笑)。
>> 2015/08/02 23:23
最後の画像、顔みたいですね。
ちょっと怖そうだけどファンキーな感じ。
長く長くそこにいらっしゃるって色んな時代を見て来て色んな風景を見て来てって考えるだけですごいムネアツなんですよねぇ。
>> 2015/08/03 07:40
すごいです・・・
まさに「ザ・ご神木」。
奈良時代の人が、この木によりかかったり
木のしたで休んだりしたのでしょうね。
今も少しずつ大きくなって
ほこらも少しずつのみこまれ続けているなんて・・・。
番付表、作りたくなる気持ちがわかります。
地元の方はとても誇らしい自慢の木ですね。
>> 2015/08/03 21:47
RYO-JIさん>
こんばんは。
この姿に至るまでには、それ相当の歴史があるということです。
人間もそうなんでしょうね。
厚みのある人間になりたいものです。
>> 2015/08/03 22:03
さかしたさん>
こんばんは。
言われてみると……モノクロにすると形がよくわかりますからね、なんかちょっと、そういう風にしか見えなくなって怖いな(笑)。
古墳めいた時代から戦国、そして今。
その場所から一歩も動かないけど、それはもうたくさんの物語を見て来たに違いないのですね。
岩のような、山のような生命。
>> 2015/08/03 22:07
ぴよ社長さん>
こんばんは。
そう、色んな人がこの樹に触れ、語りかけたでしょうね。
喜んでいた人も、哀しんでいた人もいたでしょう。
ずっとこの樹が見てくれているんだと思うと、それこそ守り神だと思いますよね。
まあ、相撲をとらせるのはどうかと思いますが、タブの樹はガタイがいいですからね(笑)。
また近いうち、会いに行きたいすばらしい樹です。
>> 2015/08/05 23:23
すごいー・・・
こんな木があるのですね。

狛さん、しりあがり寿さんの漫画「ジャカランダ」はご存知ですか?
この写真を見て、ふと思い出しました。
あ、でも狛さんは苦手そう、ちょっと怖いし・・・。
機会がありましたら読んでみてください。

こんな時間でも外ではセミがみーんみん。
夏ですね。
>> 2015/08/07 06:31
ラサさん>
こんにちは。
しりあがり寿は、流星課長とかコイソモレ先生とか、昔はわりと読んでたんですが、最近はゴブサタでした。
こういうの描いてたとは……紫綬褒章とかもらってたとはね、意外です。
この大楠は破壊を引き起こしたりはしませんが、でもそばに居るとある種のパワーを感じるような気はしますね。
そういうすごい生命力が形となって、うねりながら天に向かっているからでしょう。

今年はあまり雨が降りませんね……。
ただただ暑い、忙しい夏という感じです。
もっとあそびたいな(蒸)。








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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



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