2016/01/24//Sun.
晩秋 福島・山形巨樹行(3)
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MX-1
K-7 / DA 21mmf3.2

(※第一回はこちら
(※第二回はこちら

 腕時計のアラーム……より先に目を覚ます。
 夢は見なかったが、寝苦しさもなかった。
 身体が痛いってこともなさそうだ。
 覆面をしたならず者たちに砂入りの靴下で窓をカチ割られてありもしない金品を奪われて、ここはあの世の道の駅、ってこともなさそうだ。
 トイレに顔を洗いに行くついでに、コンビニで朝飯も買うことにする。


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 福島ど真ん中の駐車場の空気は、キリキリ冷えて引き締まっている。
 昨晩の体感から推測するに、気温は0℃ちょうどくらいじゃないだろうか。
 夜を明かしている車たちはそれぞれのやり方で寒さに耐えている。どういう面々がいるのか、ちょっと見て回る。
 まず多いのが、長距離トラック。エンジンをかけっぱなしにして暖をとっている。けっこう騒々しくて、車中泊をする時は隣は遠慮したい。
 やはり複数見かけたのが、最近流行ってるらしいキャンピングカー。軽自動車のもあったし、手が届く値段で買えるようになってるんだろうな。
 中がどうなってるのか見てみたい気もするが、自分で色々下らない工夫をするのが面白いので既製品は要らないな。
 反面、どうしても気になるのが、苦しそうに寒さに耐えている(外から見てもすぐわかる)何台かの車。何らかの理由があってそうしないといけないのだろう、乗り心地の悪いボロ軽トラの中で時折身動きする人影、いつからそこに居るのか、汚れた窓にアルミ箔を張った車……。
 旅路というのは、いろんな人生をかいま見る場でもあるのだなと、今回も思う。

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 道の駅の物産コーナーもまだ開店前。
 顔は洗ったけど、まだ寝起きでボンヤリしているので、朝飯に何を食うのか考えながら、だいぶしばらくコンビニ内をうろうろした。
 寒いので、カップうどんにお湯を入れてきて、車で食べる。
 窓が真っ白、うまいうどん。

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 窓の曇りが取れるとともに出発。
 眠気を振り払ってアクセルを踏み込んで行く。

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 ほどなくして福島市に突入。
 まだまだ夜明け前なので人気はほとんどない。
 行きなのか帰りなのか、タクシーたちが目につく。

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 県庁である福島市の、お固そうなビルの間を走って行く。
 大きな都市だが……面白いのは、市街中心地の終わりが即トンネルというところ。

 蒼く明けていく朝の中を走り続け、ついに山形県に入った。
 米沢市……牛肉で有名な米沢だろうか?
 我が財布には力がないので、そういうことをつぶさに検証することができないのが残念だが……

 と、朝が明けて来た頃、国道や工事の道路標識に混じって、「万才の松」という、気になる標識を発見。
 行き当たりばったりで、すぐさまハンドルを切る。

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 あとで調べてみると、「ばんざいの松」と読むらしい。
 どれがそうなのか、ちょっとだけ探してしまった(実は道を間違えて変な方に行った)が、辿り着いてみると、なかなか立派な松だった。
 明治天皇がこの地にやって来た記念に植えられたというアカマツとのこと。

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 樹齢130年ほど、幹まわり2.7メートル、高さ13メートル。
 いわゆる巨樹ではないものの、大きさよりも全体の形が整っていて綺麗な樹だなと思う。

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 山形県と米沢市の景観重要樹木というのに認定されており、しかも第一号だという。
 偶然だが、いいものに出会ったという感じだ。

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 もう完全に夜は姿を消した。走行距離は300キロに。
 走ってばかりだったが、万才の松のおかげでようやく自分の足で立って写真を撮ることができた。
 ついでに言うと、おかげでK–7がなぜか変な設定になっていたのにも気付いたし……。
 たたき台にしてすまん、万才の松。

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 今日もいい天気だ。
 出発してから一晩しか経っていないが、既に数日くらい旅しているような充実した気分がある。
 改めて、ひと風呂浴びるべく、山形の温泉に向かう。
 道中色々な温泉が地図には乗っていたが、一軒宿で立ち寄り湯が無かったり、早い時間にはやっていなかったりで、調べていくと候補は絞られた。
  
 さらに言うと、通り道だが、天童はイヤだ。
 会社の旅行で来た所だし、将棋とラ・フランスに恨みは何もないが(今でもバッグに黒漆のモノリスめいた将棋のコマの根付けがついてるし)、わざわざ同じところに寄る必要もないし。
 検討した結果、東根温泉というところまで行くことに決めた。まあ、天童のちょっと北だ。

 東根温泉は数軒の温泉宿やホテルからなるこぢんまりとした温泉街。
 小刻みに曲がったり停まったりする市街地ではなかなか片手で撮るわけにもいかず、写真は無いのだが、そこはウェブサイトをご覧下さい。
 ここに寄ってみた。→「たびやかた嵐湯」

 本当は売りである石風呂に入ってみたかったが、自分は知っているのである。
 こういうのは大変健康に良いが、その分また大変に体力を消耗するということを。
 おそらく、ここでこれをやってしまったら、今日一日、おやすみどころでごろごろ寝て過ごすことになるだろう。
 あーもう、もう、モウとか怠惰な声を出してるうちに牛肉を食ってみたくなり、もういいや、先に進んだと思ってその代わりに、とか言ってATM、うまい肉を食いに米沢まで戻り、しかしやはり財布はもとより口座に力がみなぎっていないので、ちょっとしか肉を食えず、あとはうだうだ引き返してくるのみになるのだ。
 巨樹もない。写真もない。アクティヴィティもない(それはいつもない)。
 オラこんな旅はイヤだ。それではいかん。

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 そういうことで、「石風呂に入られますか?(当然入りますよね?)」という宿の人に首を振って、温泉だけにした。
 石風呂は大変人気であり、朝7時頃行ったからこういう状態だけども、普段は待ってしか入れないという。
 それなのに素通りとはなかなか横柄な野郎であろうが、硫酸塩泉という温泉自体も質が良くて身体がとても暖まった。
 何より朝風呂ってのが最高だ。いい湯だった。

 フィットのリヤに濡れたタオルを干して休む。
 竿の代わりにしているのは、カメラ用の一脚だ。
 外で使うものにそんなタオルを干すなんて……と思われるかもしれないが、ご安心下さい。
 この一脚は、これまでタオルを干す以外の目的で使われたことは無いのだ(買ったはいいが、どう使えばいいかわかんない)。
 昨晩の車中泊グッズが散らかっているのでちょっと片付ける。
 片付けてから写真を撮ればよかった。

 さっぱりした気分で、また国道に戻る。
 数十メートル行った所で、「何々のケヤキ」などと書いた標識をまた見つける。
 こいつは幸先がいい、万才の松が呼び水になってくれたかな、などと呟きながらそっちにまたハンドルを切ることにした。
 そんな無軌道なことをして行ったのだが、予想外、このケヤキがとんでもない樹だったのだ。


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 ついに? じわじわと? 
 地図が日本列島のカタチに見えてきた。

(つづく)

>> 2016/01/25 07:52
じわじわ北上してきましたね。
米沢牛、ランチならお手頃でおいしいものを
たべられますよ。
変わった物だと「米沢牛のトンカツ」というのが
おいしかったです。
豚じゃないけど、中身は牛だけど。
嵐湯の石風呂は、おっしゃるとおり
あとは帰って寝るだけコースになります。
やや高いのが、ね。
>> 2016/01/25 21:38
長距離ドライブ・寒冷地で車中泊・早朝うどん摂取・気になる標識に反応、
その旅すべてが他では味わえない壮大なアクティヴィティかと思われます(笑)。
>> 2016/01/26 21:14
ぴよ社長さん>
北上の一途です。
おお、地元筋の魅力満点の情報。
米沢牛のトンカツってのは、東京ドイツ村が東京でもドイツでもなくて千葉、みたいな……ってったら失礼だな。牛とカツは合ってるわけだし、実にうまそうなので。
今度山形入りすることがあったら、攻めてみますとも。
嵐湯もご存知で(笑)。
やっぱりなー、ここは読みが正しかったわけですね。
確かにちょっと高かったし。
>> 2016/01/26 21:16
RYO-JIさん>
そう、そう言えなくもないですね(笑)。
これトータルでぐじゃっとした総合娯楽であるという。
冒険です。








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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



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