2016/02/26//Fri.
巨樹を訪ねる 山五十川の玉杉
yamagata1590.jpg
DP2 Merrill / 30mmf2.8
K-7 / DA 21mmf3.2

 日本海ぞい、山形県酒田市から50キロほど南に位置する、人口600人の山五十川集落。
 その中心として聳えている巨大な「玉杉」があるという。
 暮れかかった日の中を大急ぎで訪ねて行きました。

 
yamagata1599.jpg

 杉があるのは熊野神社の境内。
 だからもう陽が残ってなくて薄暗くなりかかってるというのに、この石段。
 がんばるぞ。

yamagata1600.jpg

 ……って、息が切れてきたけど、まだ先がある。
 なかなか手ごわいな。
 三脚を使うことにしたのはいいけど、けっこう重くてこういう時は捨てたくなります。

 今回の巨樹は杉です。
 ということは、ほら、杉の巨樹を見に行った際に必ず起きる「ジャイアント・シーダー・エフェクト(詳しくは「三浦杉」の記事などを参照してね)」が、そろそろ……


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 !!?
 我が眼を疑う光景。
 嘘だろ。
 それは……それはいくらなんでも巨大過ぎやしないか?!
 階段疲れも忘れて、思わず駆け出さずにはいられなくなりました。

yamagata1589.jpg
(クリックで拡大)

 なんて樹だろう!
 巨樹中の巨樹と言っていいのじゃないでしょうか。

 この堂々たる風格や勢い、地元の人が躊躇わず「日本一」と呼ぶのもうなずけるというものです。
 むろん、細かい数字を見れば、これよりも大きな杉はあるわけなのですけれども、うん、これは日本一だわな、と理屈抜きで納得させる迫力がある。

 くだんのスパイダー三脚で巨大すぎる玉杉の撮影を試みていると、いいタイミングでおっさんたちが。
 もちろん遠近感というのはありますが(おっさんは3、4メートルくらい後ろにいる)、実際に見たインパクトを考えれば、こんなの全然誇張のうちに入りません。 

yamagata1594.jpg

 高さよりも、太さと枝張りの広さが目を引く樹です。
 枝の茂った形が玉のように丸かったことから、玉杉と呼ばれているとのこと。
 今は周囲の杉林が高くなってしまったので隠れがちですが、昔は小高い熊野神社から、この玉杉のきれいな樹形がよく見えたことでしょう。

yamagata1592.jpg
(クリックで拡大)

 その枝張りを持ちながら、あくまで幹はまっすぐ。
 杉らしい形をしつつ、十倍くらい逞しくしたような、パワフルでかっこいい樹です。
 ある意味、杉の巨樹の理想型と言ってもいいのではないでしょうか。
 脇の方からもう一本の幹のような枝が出て伸びていますが(裂けたものが成長した?)、これも普通の杉の樹よりよほど大きいサイズ。

yamagata1602.jpg

 沈みかけの西日の中で。
 ここへ来る前に訪れた「幻想の森」で、ダークファンタジーな奇怪な杉たちに囲まれてコワい思いをしましたが、すくんだ心に活を入れてくれるような、力のある樹でした。
 これで1500歳だって言うんだから驚きです。
 1500年前ってあれだぜ、大化の改新が「虫5匹」で645年でしょう、その時にはもうあったんだ……。

yamagata1605.jpg

 杉の周りをまわり(板で道が作ってある)、夢中で写真を撮りましたが、とうとう陽が沈み始め、ついでにカメラのバッテリーも枯渇しました。
 玉杉にお礼を言って下山します。
 できればもう一度会いに来たいです。
 素直にそう伝えました。


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 いいもん見た、そうため息を吐きながら下りてくると、来る時は急ぎすぎて気づかなかった、玉杉のための集会場のようなものがありました。
 『山五十川の里を見守り 玉杉千五百歳』 か。
 ほんとに玉杉が誇りなんだな。

 見るからに小さな集落である山五十川ですが、帰ってきてから調べてみると、ホームページがあるのを発見しました。
 「山五十川ホームページ」

 門(かど)という独自の隣組制度が生きていたり、地元歌舞伎みたいなものがあったり、興味深い地なのです。

yamagata1595.jpg yamagata1596.jpg

 そして何と言っても、この集落には玉杉なのでしょう。
 童話調の解説文「玉杉物語」も掲示してありました。
 素朴かつ感動的……そんなことがあったのか。
 クリックしてぜひ読んでみてください。


yamagata1598.jpg

 解説文。

 これら資料を読みながら思いを馳せていたら、近所の家から出てきたおじさんが声をかけてくれました。
 三脚をかついでいたので、それはもう玉杉の写真を撮りに来たということがバレバレです。
 しかも僕の車が千葉ナンバーなので、千葉なんてトコからわざわざ来てくれたのか? と言うので、ハイもちろんそうです! というと大変喜んでくれて、いろいろと玉杉についての話を聞かせてくれました。
 いわく、自分が子供の頃には玉杉はもっと高かったが、落雷で折れて低くなってしまった。
 高かった頃の玉杉はそれはもう今の倍も巨大に見えて、海から船が目印にするくらいだった(!)とのこと。
 落雷の話は玉杉物語にもありましたが、言われてみると、あの幹の立派さというのは、実際はもっと高い樹だったからということなのかもしれません。

 ついで、子供の頃は雪が降るとあの神社の階段をソリで滑降してやったもんだぜ、と仰いましたが、おじさんそれはかなりクレイジーだし話盛ってるでしょう? ……とは言いませんでした(笑)。
 うまく撮れた? と訊かれるので、バッチリです、なぜならあの杉が滅法素晴らしいからですと、なんだか僕のテンションも変でしたが、玉杉への本当の愛着が伝わってくる、心地よいひと時でした。
 これだから、大きな樹ってのはいいよなあ。

yamagata1593.jpg
(クリックで拡大)

「山五十川の玉杉」
山形県鶴岡市山五十川 熊野神社
樹齢:1500年
樹種:スギ
樹高:36.8メートル
幹周:11.4メートル

>> 2016/02/27 08:27
4枚目と5枚目、すごく大きさが伝わってきます。
特に4枚目の、階段の先に見えた幹には
驚きました。

地元のみんなの誇りなんですね。
朝から物語を読んでほろっとしてしまいました。
>> 2016/02/27 21:40
山形って五●川って地名や川の名前が多いなとちょっと思って調べたらそうでもなかった。

誇れるものを愛している人は声かけてくれますよね。
わたしも先日の旅でそうでした。
そしてにこにこしながら話してくれるその人をうれしく思うのでした。

玉杉物語は泣いちゃうじゃないですかっ!
>> 2016/02/27 22:03
えっ、マジ、合体反則技ではなく一本杉で幹周11mオーバーですか!
ちょっとにわかには信じられない!!
いや、でも、オッサン比較では納得ですね。
簡単には見に行けないですが、いつかこの目で確かめたいです。
>> 2016/02/27 23:49
気になった地域は帰ってから調べる。
これは旅の醍醐味ですね。
帰ってからも二度楽しめる。

それにしてもこの太さすごい。
わざわざ遠出してまで見に行く価値がありますね。
山口で巨木って耳にしないですがあるんですかねえ。
そうそう、クスの森は二年前に僕行ってます。
http://sirokuro0714.blog.fc2.com/blog-entry-310.html
こちらの方に少しだけ写真載せてました(笑)
>> 2016/02/28 19:23
ぴよ社長さん>
行ける所まで行った先で、それだけの価値がある光景でした。
すばらしい杉エフェクト(笑)。
東根の大ケヤキといい、山形の人の巨樹愛には心を打たれるものがありますね。
こどもたちのそばに巨樹があるというのはとてもいいと思います。
しかもこんな立派な樹が……。
>> 2016/02/28 19:30
さかしたさん>
日本海側はさすがに遠いので深追いできませんでしたが、酒田市とか、海沿いの街をもっとぶらぶら探索したいとすごく思います。
なんで休みには限りがあるんだ!(無茶いうな)

いつか、地元で誇りに思うものについて、旅人を同じように迎えてあげたいと思います。
もっと地元を愛せるようにもなりたいものです。

玉杉物語はいい感じだなあとしんみりしました。
どうしたって、あの杉一本だけあんなに飛び抜けてるのはなぜなんだろうって思う、その解釈がそういう風に示される。
また、山間のあの小さな村でそれを読むのがいいんですよ。
>> 2016/02/28 19:38
RYO-JIさん>
すごく立派な杉です。
数字で見てしまうと、上には上がいくつもあるんですが、実は杉って、合体ものなのかそうでないのか、判定が難しいらしいですよ。
かの縄文杉も実際は合体ものなんじゃないかという説もあるらしく。
こういう、一本だと明確にわかるもので巨大なのは珍しいのかもしれません。
素晴らしい杉でした。
またぜひ会いに行きたいものです。
>> 2016/02/28 19:56
atushiさん>
さすが! でかい樹を撮る時もユーモアたっぷりです(笑)。
「川棚のクスの森」は山口県きっての巨樹のようで、樹冠が180メートル(!)もあるという、どうやったら一本の幹でそんな枝支えられるんだろ、というようなすごい樹だということです。
うーん、行ってみたい。
ソワソワしますね。

この場合、樹があったから行ってみたという旅だったので、調べるのは後になりました。
ぶらぶら歩きに行ってた頃は、地図に載ってた地名が気になって行ってみるとか、そういうのも多かったので、そういう時は行く前に調べたりもしましたね。
でも、わかんないことも多かったので、結局「ほう、こういうトコか」と体感しに行ってたようなもんですが……。
調べたらすごくおっかない土地だったりしてね。









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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



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