2016/05/26//Thu.
新緑の岩手へ 気付けば私たちは舟に乗っていた
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K-1 / FA 35mmf2 / SIGMA 28mmf1.8 EX DG

 巨樹を訪問し、さてそれでは、って、北上し始めたのはいいですが、我々、ちょっとばかりくたびれて来ました。
 頭がぼんやりする。
 ひたひたと流れる川面に手を浸し……そう、いつの間にか、乗り物が自家用車から小舟に早変わり、渓谷の絶景の中に私たちはおります。
 以下、その顛末。


 少ない情報を駆使して走り回り、巨樹探索クエストをコンプリートした喜びと充足感。
 それとともに失われた我が生命体としてのエネルギー。
「樹が見つからなくて困っているあなたの姿が見たい」
 と、心からのファンレターを送ってくれたおむさんも、午前3時から走って来た疲れが出てぐったりです。忘れてたけど、一日働いてきた後だったしな……。
 おまけに、いつものことですが、この遠方の地にあって、しっかり行き先を決めていない。
 鈍った頭でどこへ行くのか考えなければならないのは苦行で、かつ、サービスエリアが混み過ぎていて、きつねそばやわかめうどんが食べられなかったせいで、空腹もひどいものがあります。空腹といえば、600キロ以上も走ってきたフィット號のガソリンもそろそろ補給しなければいけない。
 そういうわけで、シェル石油ののち、道の駅にしけこみます。
 どんなものがあるかな? じゃなくて、入り口でいきなりカゴをつかみ、パン、おこわ、みそ饅頭みたいなの、草餅、かつサンド……などなど購入し、おむさんに至ってはアイスを食い、その上、出口付近の露店でいかポッポ焼きも買いました。
 彼女はこのいかポッポ焼きという食いもんが大好きで、いかポッポ焼きを食っている時だけ、前世ではるか異国の高貴な身分のお方であった記憶が蘇るとかなんとかかんとか……(超適当だし嘘)。
 とりあえずお腹とガソリンタンクを満たしましたが、あまりはっきりと行き先は決まらず(というか考えようとしていない)、また北へむけてゆるゆると走り出し……そして、いつの間にか渓谷で舟に乗っていたという。

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 ここは「猊鼻渓(げいびけい)」というところみたい。
 とても風光明媚で有名な観光地で、あの有名人も訪れたって、写真と色紙が貼ってあった。
 有名人とは、きんさんぎんさん。
 岩手県の南部きっての観光地であるのですが、ややこしいことに、もうひとつ渓谷があって、こちらは「厳美渓(げんびけい)」と言います。
 実際、初めて聞いた場合には1000%間違えること請け合い、話によるとネイティヴの岩手県民でも、ウチの爺さんが訛ってるだけであって、よもや別々の場所のことを言っているとは思わなかった……と戦慄するケースがあるとかないとか。

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 黄色く咲き始めたヤマブキなんぞを眺めながら、すごく静かな渓谷を進んでいきます。

「実際、自分がどっち(猊鼻渓と厳美渓)に行きたかったのか、舟に乗るまでわかんなかった」
「話では、だんごがロープウェイに乗って届くって聞いたけど、それはこっちじゃなかったみたい」
「だんごがロープウェイで……」
「北を上にしたとき、右手にあるのが猊鼻渓、左手にあるのが厳美渓ね」
「で、その違いは?」
「だから、だんごがロープウェイに乗ってくるのが厳美渓」
(だんご食いてえなあ)
(だんご食べたい……)


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 個性豊かな船頭さんが楽しい案内を聞かせてくれ、帰り道では民謡を歌ってくれます。
 切り立った断崖に挟まれているせいで、風も物音もほとんどせず、眠くなるくらい乗り心地は静か。
 岩肌に伸びやかに反響する歌声は、いつの間にか目を閉じて聞き入ってしまいます。
 まったく下調べしなかったせいで、舟下りってのはもっと動きのあるものだと……転覆したり墜落したりはまさかしないだろうけど、こんなにゆったりしたものだとは思っていませんでした。
 もういっこの方(だんごがロープウェイで来る方)は、激流下りだったりしてね。

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 この切り立った岩肌。
 柔らかい石灰質の岩が、川に削られてこうなったわけですね。
 そういえば、来る時でかいセメントプラントがあったっけ。
 奥に行くにしたがって高さは増し、最後部では80メートル以上もあるようです。
 水墨画に書いたら映えそうな景色です。

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 猊鼻渓ツアーの面白いところは、一番奥まで行くと、いったん舟を降りて小散策になるところ。
 好きなタイミングで帰りの舟に乗って、また戻って行くということです。
 船着き場には鯉もいて愛嬌を振りまいていました。
 狛はこういった鯉等に餌をやる素振りだけ見せ、集まってきては頑張って架空の餌を食おうとしている鯉を、
(ばかめ……)
 と眺めるのが好きなのですが、おむさんは、こういった下らないことをいつも繰り返す狛を、
(ばかめ……)
 と眺めるのが好きだ、ということです。

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 さて、最深部には80〜90メートルにもならん、大岩壁がそびえています。
 猊鼻という名称は、「獅子の鼻」を意味するそうで、ここの岩肌に獅子の顔が見えるとのことで……うーん、そうも見えなくもないけど、少なくとも写真にはよく写らなかったな。確かめたい方は是非猊鼻渓までおこしください。

 ちょっとしたアトラクションがあって、川を挟んだ先にぽっかり開いた穴があり、露店で買った焼き物の玉を投げてここに入れると、その玉に書いてあった願いが叶う……というもの。
 玉には、愛とか、金運とか、健康とか、そういった文句が書いてあるもよう。
 彼女連れの世間一般男子諸君は、こういうので好い所を見せたいようです。
「あーん、とどかなーい」
 とかへっぽこ玉を投げる女の子を尻目に、かっこいいフォームで矢のようなピッチングを見せ、スパーンと決めて見せる。周囲からも歓声があがるし、愛とか金運とか健康とか願掛けも果たせる。
「どうよ、これで俺たちの○○(ストライクした玉の文句をいれてね)は盤石だ、一生俺についてこい」
「最高にかっこいい」
 ……いいよな。
 ってのは、狛は、年度末に負傷した手首がいまだ痛く戦力外通告を受けており、まあ、そうでなくたって、こういうのは苦手です。
 一方でおむさんは、最初から決めていたかのようにスタスタ愛だの金運だのの土器玉セットを買って来て、勝手にチャレンジし始めました。
「撮ってくれた? 私のピッチング」
「……いいえ」
「どうして!」
「だってさあ、気付いたらもう投げ終わってんだもん。ぽいぽい投げ過ぎなんだよ」
「いや、それは……試しに投げた玉の感じで次のフォームとか力加減を修正して……こう」
「それって、愛とか健康とか、絶対願掛けしてないでしょう。最初に投げたのは?」
「愛」
「愛を練習球にするのやめろ!」
 なんだか、それぞれの人生をかいま見ているような気もしました。
 全球入らないのが悔しくてその辺の石ころ投げてるおっさんもいたしな……。

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(クリックで拡大)

 ともかく、この大岩壁の圧倒的スケールは素晴らしい。
 見て良し、遊んで良し、帰りの舟では先に書いた船頭さんの素晴らしい歌を聞くことができ、程よくまったりして到着。一時間半の猊鼻渓ツアーを満喫しました。

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 こっちも棄て難かったな……という幽玄洞。鍾乳洞みたいです。
 よき20世紀の終わりの雰囲気を残すイラスト、どうせならアウトドアっぽい格好すりゃいいのに……と思うけど、そうじゃないとこが逆にいかす。
 山ガールとかじゃなくて、むしろOLぽい。誰かに似ていそうで似ていないところも良いですね。

 なんて言って写真撮ってたら、ほら置いてくよ! って、運転するのは僕なんですけどね。
 頑張って平泉まで。
 どうやらおむさんは中尊寺でお守りを買って来てやると約束していたらしい。
 それを早く思い出そうよ。中尊寺のお参りは17時まで。
 やや小走り。

(つづく)

>> 2016/05/26 08:17
あーー おなかいたい(笑)
狛さんは一生オムさんについていくしかないね。

そしてこの岩!びっくり。
これがあの有名な・・・  どっちだっけ?
猊鼻渓、そうそう、これは宮城でも宣伝でよく目にする名前なのですが、
こんな奇岩のところだとはおもいませんでした。
自分がちっぽけにかんじるだろうなぁ〜。
>> 2016/05/26 22:22
完全に尻に敷かれてますがなwww

あゝ船に乗りながら民謡いいですねぇ。
バスガイドが歌ってくれるそれより全然いいなぁと思ってしまった(バスガイドさんごめんなさい)。
あたしも民謡歌いながら雪里歩こうかねぇ(実は民謡好き)。
>> 2016/05/27 06:14
ぴよ社長さん>
面白かったようで幸いです。
実際こんな感じで終始進んで行きます。
旅は人生、人生は旅。

広い岩手でもかなり南の方ですから、きっと宮城からも来やすいところですよね。
そういうの、じっくり取り組まないとそうは写らないのでしょう、他にも男の人の横顔に見える巨岩とか、夫婦岩とか、そういうのが色々ありました。
スケールの大きなものって好きです。
ぴよさんも一度ぜひ……でもって、全球ストライクしてください(笑)。
>> 2016/05/27 06:45
さかしたさん>
敷かれているようで、その実全ての価値観を体現する、笑点のざぶとんのごとくでありたい……ときどきしょうもない豪華景品がもらえる。

ここで聞く民謡はほんとによかったですよ。
両側の岩肌に反響し、静かな水音とともに独特の世界観ができあがります。
帰りの舟はできれば静かそうな組を選んで乗るに越したことはありませんが、それまで大声でしゃべる、笑う、笛を吹くなどしていたヨッパライも、この歌世界には聞き入っていましたね。
歌うのは歌知らないし苦手ですが、バスガイドさんのでも、聞くのは嫌いじゃないですな。
でも、竹内さん(いつものバスガイドのおばさん)が寅さんや釣りバカをいつもラスト15分で切るのはゆるせない。








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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



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