2016/06/15//Wed.
新緑の岩手へ 温泉でお疲れ様でした
iwate-gw1665.jpg
K-1 / FA 35mmf2
MX-1

 日暮れを前に、無事宿に辿り着きました。


iwate-gw1666.jpg

 最近そこそこメジャーになってきましたが、花巻の奥に位置する鉛温泉・藤三旅館です。
 木造3階建てを主とする大きな一軒宿で、清流に面した旅館部、安く簡素に湯治ができる湯治部(旧名:自炊部)もあります。
 最近、映画「海街ダイアリー」で撮影場所に使われたとのことで、女優さんたちのサインがさりげなく飾ってありました。

iwate-gw1670.jpg

 ここがロビー。
 床もみんな木板なので、歩くとギシギシ言います。

 我々がここに泊まるのは……何度目か忘れましたが(多分5、6回以上)、お湯の良さ、居心地の良さで定宿と化しています。
 当ブログでの最古の記録は07年の夏休みのようですが、雪深い時期に来てみたり、母と祖母を保養に招待したこともあります。
 インターネットが飛躍的に進歩して口コミなどで取り上げられ、お客さんが増えたおかげでしょう、ぼろかった建物の修繕や施設の近代化、新棟の増築なんかも行われ、とても便利になりました。
 古本で買った温泉の本で初めて知ったというあの時代、朝日が差し込む河鹿の湯、清流にかかる橋から丸見えな展望風呂「アトミック風呂(原子力時代的ネーミング)」なんてのがあって……お盆やお正月の大広間でのカラオケ大会や、全館一斉にやる節分の豆まき……なんてのも良かったけどね(カラオケ大会や豆まきは今でもやってるかも)。

iwate-gw1667.jpg

 そんな風に通ぶりながらも、今回も泊まるのはあくまで旅館部の方です。
 ここで湯治部を選択するほうがワイルドで通っぽいでしょ? でもそうしない。
 温泉は旅館部でも湯治部でも同じところに入れるのですが、我々はもうひとつ、ごはんを食いにここに来ているフシがあるので(笑)。

iwate-gw1668.jpg

 窓をあければ清流。ああ、このせせらぎの音。
 時期によっては、鮎釣りの人たちが出ていることもあります。
 そして、夕飯に鮎の塩焼きが出ることも。

iwate-gw1669.jpg

 今回は時間と天候に恵まれなかったのでパスしましたが、周囲を歩くのも自然がいっぱいで楽しいです。
 めし、風呂、昼寝、読書、散歩、まためし……なんて調子で、2、3日ボンヤリ過ごすと最高。

 落ち着いたところで、ひと風呂あびに行くことにします。
 「源泉掛け流し」……なんて魅力的な言葉なんだろう。

iwate-gw1671.jpg

 客室周りはきれいになりましたが、お風呂がある棟はだいたい古いままの建築です。
 ここからが旅館部、むこうが湯治部。つまりお風呂は両方の部の中央にあるということです。

iwate-gw1672.jpg

 鉛温泉の象徴が、「白猿の湯」。
 地下まで下ったところにある大きな小判型のお風呂で、水深が130センチ以上もあるため、立って入ります。
 天井は2階分巨大な吹き抜けになっていて、まったく独特な入り心地で最高です。

iwate-gw1679.jpg

 (お風呂内の写真は撮れないので、これで)
 ちなみに混浴です。

iwate-gw1673.jpg

 この左手ガラス障子の向こうが「白猿の湯」。
 この辺の古さ、薄暗さは昔のままですね。

iwate-gw1674.jpg

 ずっと行くと、湯治部に。
 湯治部は旧名を自炊部といい、売店で食材を買って共同の炊事場で自炊するなどして格安で長逗留できます。
 その場合は帳場にどんぶりを持って行くとごはんをわけてもらえるそうで、もちろんお金を出しておかずをつけてもらうこともできるそうです。

 ちょいと薄暗いですが、この右手に簡素な部屋がたくさん並んでおり、自販機のあたりに売店があります。
 藤三売店には、お土産はもちろん、飲み物、食材、味噌醤油なんかも常備。ずっとひとりのおばあさんが切り盛りしています。
 おばあさんと話してると、何かしら買いたくなってしまい、「岩手の民話」とか買って部屋でだらだら読んだのも楽しかったなあ。
 「みちのくよばいものがたり」なんかも売ってたよ(要はむかしのエロ小説)。

 大した写真がなくてすみません。
 紹介する気が全くない どうしてもここへ来ると、自分がくつろぐのが優先になってしまって。
 鉛温泉は一軒宿の中に複数の源泉を持っており、泉質は透明なアルカリ泉で、少し茶色い湯の華が混じることがあります。
 肌にいいし、ちょうどいいくらいの温度なのに、後から汗がたくさん出ます。


iwate-gw1678.jpg

 いい湯加減で戻って来たら、ごはん、めし、ごちそう。ウワアイ。
 「考えるな、感じろ」的に追加してしまったA5ランク岩手牛(しゃぶしゃぶだったらしい、向かって左手になります)が、岩手ポークとのメイン・バッティング状態。これは……。
 これは、って、あ、

「いただきます」
「いただきます!」
「この牛VS豚は、前回も同じことをしでかした記憶があるんだけど、気のせいかな」
「何でもいいじゃん、どっちもうまいんだし、ウワーこの肉」
「それはそうだ。残す気はさらさら無い」
「あわび! ウワー」
「すごいね、きっとおむさんにはバチがあたるね」
「うるさい、うまい」
 (※あわびさんはまだ存命で儚く思ったので撮らず、合掌ののち、きれいにおむさんの血肉となりました)
 
 その他、おさしみ、白身魚のタケノコ入り甘味噌焼き、そばの実の山菜汁物、海老しんじょう、とうふ、貝、鱧のお吸い物、等々のどれもこれもうまいごちそう責め。
 そして、お米がやっぱり特別うまい。おひつを空にすること請け合いです。

 (※しばし、無言のまま悪鬼のごとく喰らうふたり)

 ……完食。というかもう食えねえ。
 満腹がひと心地ついたら、また違うお風呂に入りに行きます。
 そうね、この道楽全開満腹状態での「白猿の湯」の入湯はたいへんに危険なのでおやめください。
 あの深さの水圧を考えてみろよ。

 おふろに入り、お休みどころで牛乳やメッツを飲み、ロビーのソファーで清流をぼーっと眺めるなどし、うらうら戻ってくると、不思議なことにおふとんが敷いてあるので、すみやかに滑り込みます。
 寝ます。
 そして午前3時になるとまたノソノソ起きだし、静まり返った温泉に浸りに出かけます。
 定番コース。


iwate-gw1675.jpg

 あーあ、新しい朝が来ちゃったよ(ラジオ体操の歌も、ここではこんな感じにため息まじりです)。
 まったく、一泊しかしないのは大変に勿体ないのですが、徐々に非現実の靄の向こうから日常の足音が聞こえてくる頃合いです。
 逃げていてもいつかは追いつかれる。あいつはそういう奴だ。
 だとすれば、こちらから立ち向かって行くしかあるまい。
 なんて息巻いて、できたてハムエッグスとうまい白飯をたらふく食べ、名残惜しくまた朝風呂に入ったら、出発です。

 鉛温泉……毎回うまいものをたくさん食べて、ものすごく伸び伸びとくつろいでくるので、とても贅沢をした気分になれます。
 そういう感じは好ましいのですが、それも帳場まで。
 贅沢をした自覚があるということは、お会計が怖くなるということで、これも毎回、俺と俺のさいふは生きてここを出られるんだろうか、と心配に思うんですが、お会計が良心的で命拾いします。
 なぜかGWでもそんなに料金が変わらないし、次回使える10%割引券ももらえるし。
 幸せ……でも何かこの後バチが当たらないだろうな。ほんとに大丈夫だよね?
 なんて言いながら、今回もありがとう、また来ます。

iwate-gw1677.jpg

 実際、藤三旅館に下る坂道は急すぎてつらい。
 車で降りてったら事故りそうで、冬なんか凍結してんのに、みんなどうやって下って行ってんだろう。
 そういえば、ちょっと先へ行くとすぐスキー場もありますよ、なんて言ってたら、誰かバス停に上着忘れてったのかと思ってしまいましたよ(ほんとにそう)。
 鉛温泉はちらっと賢治の小説にも出てくるようです。イーハトーヴの一部なんですね。

iwate-gw1676.jpg

 ああ、名残り惜しき五月の岩手よ。
 りんごの花が去る我々を見送ってくれました。
 また近く遊びにくることを誓って。
 


 帰り道は怒涛の勢い。
 給油し、アクセル踏みっぱなし、無駄口も無しで、一気に数百キロ(距離は途中で考えたくなくなった)を駆け戻りました。
 到着して距離計を見れば通算1212キロの旅。
 疲労も片付けも横に押しのけて、すぐに悪い頭が考え出す……「こんどはどこ行こうか」。
 これだけ走れるなら、どこへだって行けるんじゃない? って。

(おしまい)



・追伸・
 長くなりましたが、お付き合いありがとうございました。
 旅先での写真はいくら撮っておいても物足りなく感じるものですね。

>> 2016/06/15 22:59
海街diaryの物語の始まりの辺りのシーンかしらと想像(映画は未見)。
お父さんのお葬式で山形に行った姉妹達。
山形は岩手だったのか…。いや見てないからわからないが。

えびしんじょう、大好きです。
>> 2016/06/16 07:56
あ〜おもしろかった^^

いい温泉宿ですね。
お料理も、こんなに全部たべましたか!(笑)
バチあたるのは、二人そろってでしょ^^
りんごの花、かわいいです。
>> 2016/06/16 21:12
さかしたさん>
僕も、あの時はマッドマックスを観に行っていたので、というか、そういう映画を観る人間性ではないので、知りませんで。
母がそれを観て、驚いた、こないだ行ったとこじゃないかと言って来たんです。

海老しんじょうのあんかけのような、ほわっとした料理がうまいというのは、実際腕前があるということじゃないかなと思います。
いや、舌に自信はちっともないですけどね。
だしがよくないとうまくないですもんね。
>> 2016/06/16 21:20
ぴよ社長さん>
長くなってすいません、読むのも大変だったでしょう。
感謝、感謝です。

ちょっとボロいですけど、ここはいい宿ですよ。
はい、ふたりして地獄行きです。
地獄の釜で湯治がしたーい。
なんつってね、ほんとにバチあたりですね。
地獄には行きたくないけど、岩手にはまた行くつもりでいっぱいです。
>> 2016/06/17 23:58
うわぁ、ちょうど昨日海街diaryを見て、
あの素敵な旅館はどこなんだろうと思っていたんですよ!
タイムリーだなぁ。
こんなところに行ったなんて羨ましいです。
マルカン食堂もウラヤマシイ。。
そして今日、展示を一緒にした中川さんが岩手の温泉に泊まっています。
明日は宮沢賢治の記念館?に行くんだそうです。
いいなぁ岩手!
>> 2016/06/19 00:16
ラサさん>
おお、すごいリアルタイム感(笑)
僕のような人間向けの映画じゃないとはわかっていますが、こういう縁みたいなものがあると観てみたくなりますネ。
中川さんは何温泉に泊まってるんでしょうか。
岩手には、いろんな温泉が数多くあるので、比べてみるのも面白いです。
環境もいいし、人はみんな親切だし……なんか、日本のよいところを集めたようなとこ、って感じがするんですよね。
機会があったら、ラサさんもぜひ!
>> 2016/06/19 21:50
つい先日、TVで海街diaryを見たのでなるほどなるほど。
あのシーンのあの場面だなと。
海街diaryは写真が好きな人なら好きな映画だと思いますよ。
監督が元々は写真家らしくてああやっぱり!と思いました。
(海街diaryの写真集が欲しい・・・)

旅はいつも安ビジネスホテルでメシは地元のいい感じの小料理屋。
といった僕の旅では縁のない旅館ですが旅館に泊まるのもいいですねえ。

今回の旅はなんだかいつにも増しておむさんが素晴らしいと感じた旅行記でした♪
>> 2016/06/19 23:19
atushiさん>
テレビでやってたんですよね、知ってたんだから僕も見れば良かった。
へえそうなんだ……と、atushiさんの上手な推しで、見てみたい度が急上昇。
写真集が欲しくなっちゃうような素敵シーンがあるのかあ。

で、旅は僕らもいつもそんな感じですよー。
タイミングが合わないとコンビニごはんや日清を食うこともあるし……。
鉛温泉に行く時はそれが目的となるので(鉛る、なまる、という我々にしか通用しない動詞になっている)、特別です。
おむさんは素晴らしいんですが、寝過ぎ。
いか焼き売ってると必ず買うし。
すばらしいです。








ブログ管理人にのみ表示を許可する

[TOP]



ブログランキングにも参加しています。
気に入った写真や記事があったら、押していただけると嬉しいです。

にほんブログ村 写真ブログ スナップ写真へ にほんブログ村 写真ブログ 建物・街写真へ にほんブログ村 写真ブログへ
プロフィール

狛

Author:狛
狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



カテゴリー検索と表示
<<全タイトル列挙 >>


最近の記事とそのほか
最近のコメント
月別アーカイヴ
リンク
道具

K-1 
HDPENTAX-DFA28-105mm 
OtherCamera 
CZ・Ultron50mmf1.8 
Sigma28mmf1.8 
FA35mmf2 
Flektogon20mmf2.8 
Pancolar80mmf1.8 
K-7 
Flektogon35mmf2.4 
MX-1 
Distagon35mmf2.8 
DP2Merrill 
ТАИР-11А135mmf2.8 
smc-m150mmf3.5 
DA21mmf3.2 
EBC・Fujinon(55mm&135mm) 
smcTakumar28mmf3.5 
Travenar50mmf2.8 
smc-m50mmf1.7 
OptioA30 
smc-m28mmf2.8 
smc-m20mmf4 
Pancolar50mmf1.8 
smcTakumar105mmf2.8 
SuperTakumar35mmf3.5 
ESPIOmini 
smcTakumar35mmf2 
Helioplan40mmf4.5 
SMC・Takumar55mmf1.8 
FujicaDate 



www.flickr.com
This is a Flickr badge showing public photos and videos from coma222. Make your own badge here.
copyright (C) 2006 アンダー・コンストラクションズ all rights reserved. [ template by 白黒素材 ]
//