2016/08/17//Wed.
巨樹を訪ねる 上野村の大ジイ
uenoshii1602.jpg
(クリックで拡大)
DP2 Merrill / 30mmf2.8
K-7 / DA 21mmf3.2

 房総半島ののどかな山里の中に、上野村の大椎の樹はありました。
 庫裏のような建物とお墓はあるものの、寂光寺は今は無人のお寺。
 しかし、かつては日蓮上人が7日間滞在して布教につとめた地だということです。

 日蓮は鎌倉時代の僧(1222年生)。
 安国論を熱心に唱えて、宗教と国のあり方を絡めて幕府や他宗派と対立したせいで、多数の災難に見舞われた人です。
 それでも決して折れずに信念を貫き徹したことで有名ですが、この寂光寺での説法の直前にも、地元の地頭に襲撃され(小松原法難)、弟子を殺された上、自身も負傷しています。
 そこからの復活の舞台がこの地であり、そう考えるとかなりドラマチックな地であるわけですね。
 日蓮自身が小湊の出身でもあります(地元に近い)。

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 寺の記録では、その布教の際、大椎はすでに大樹であったとのこと。
 日蓮上人も、その説法を聞きにきた鎌倉時代の人々も、皆この椎の樹を見たことでしょう。
 樹の元に集まったり、木陰で休んだりしていたのかもしれません。

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 日蓮自身が大量の書物を遺した人であるので、こういった記録の正確さには信憑性があります。
 もちろん、樹自身を見ていても、その歳月は疑うところがありません。

uenoshii1604.jpg
(クリックで拡大)

 朽ちたり、折れたりしているところも多いですが、それだけにいっそう凄みを増して感じられました。
 竹林のざわめきや鳥の声くらいしか聞こえない寺の静かな空気の中で、威厳の気配を漂わせています。

uenoshii1605.jpg

 樹自体は「Y」の字のような形をしています。
 が、かなり巨大な上、歳月がもたらした様々な影響が、ものすごく複雑な形に感じさせ、どこから見ればいいのか戸惑ってしまう……。

uenoshii1606.jpg

 ごつごつ節くれ立った表皮、傷口、むき出しの筋肉を見ているかのようです。
 着生している他種の植物も多く、大きく育って樹冠の一部を構成しているものもあります。
 1枚目の全体写真を拡大してみると、明らかに葉の違う部分があるのがわかります。

uenoshii1607.jpg
(クリックで拡大)

 大枝には折れた後が生々しい。
 実際、こんな枝が一部でも折れて落下して来るととても危険なので、周囲にはロープが張ってあります。
 歳とともに無に還ろうとしているのか……。
 しかし一方で枝葉の数はまだ多く、生と死の両方を抱えて生きているような姿です。
 思わず合掌したくなる、これこそお寺にふさわしい巨樹の有様と思えました。

uenoshii1608.jpg

 解説文。
 千葉県には椎の巨樹が多く、この椎は県内第3位の大きさです。
 県内1、2位は全国的に見ても指折りの幹周のものがあります。

uenoshii1609.jpg


「上野村の大ジイ」
千葉県勝浦市 寂光寺
樹齢:800年
樹種:スダジイ
樹高:24メートル
幹周:7.3メートル

>> 2016/08/17 09:08
大ジイ、響きが長老ぽいです。
1枚目の後ろの杉の植林とくらべて
その大きさに驚きました。
空洞があっても元気に行きているんですよね?
日蓮上人も見た木、というだけで
なんだかありがたみが増してきます。
>> 2016/08/18 05:54
ぴよ社長さん>
確かに、大長老という感じがしますね(笑)。
椎の樹は杉や欅とはまた違った育ち方をしていきます。
けっこうこういう風に老いを見せている樹が多いように思いますが、全体的に長寿です。
人造物と違って、当時からずっとここにあるという確証があるということ。
歴史の1ページがここにあるという実感が湧きますよね。
>> 2016/08/18 21:30
これまた力強く個性的な巨樹ですね!
年輪を重ねた樹というものは、その長い年月の間に
歴史上の様々な偉人賢人と関わっていますよね。
何かそういう人々が吸い寄せられるかのようにやってきては、
樹からエネルギーをもらって偉業を成し遂げているようにも感じますね。
後世に生きる我々は、その謂れを知るのも楽しみだったりしますし。

シイの巨樹はまだ見たことないので、食い入るように見てしまいました(笑)。
思わず合掌したくなる気持ちもわかりますよ~。

あと、クリックで拡大はいいですね。
技術的に自分はどうやるのかわかりませんけど(笑)。
>> 2016/08/19 21:14
RYO-JIさん>
椎の巨樹はどこかグロテスクというか、綺麗じゃないことが多いのですが、それだけに迫力があります。
何百年も生きるってことはこういう凄まじいことなんだ、と体現しているかのようです。

伝説上の人物が杖とか箸とか爪楊枝を突き刺したら、やがて巨樹に……というような派手さはないですが、この椎の場合、エピソードは事実だと思えます。
RYO-JIさんの言う通り、もしかすると巨樹の方が有名な人を呼び寄せることもあるのかも。
日蓮も、この椎を見てここでやろうと決めたとも言えるかもしれません。
歴史の中を生き続けているってのは、ほんとに凄いことです。

クリックで拡大は、でかい画像を別につくっておいて、html上でそれを開くようにするだけです。
2メガまで載せられるようになったし、だいぶ良くなりました。








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スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
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