2016/12/03//Sat.
巨樹を訪ねる 沢尻の大ヒノキ(サワラ)
sawajiri1509.jpg
K-7 / DA 21mmf3.2
MX-1
(写真はクリックで拡大)

 巨樹を訪ねる旅も、冬になってくると色々と難しい点が出てきます。
 北国への車旅が降雪によって困難になることもそうですし、頑張って走って行ったところで、冬の日は短く、撮影するのを待ってくれないようなところがあります。
 福島はいわきに日曜休みを丸ごと突っ込んで出かけて行ったのですが、チラチラと雪が降る中、あちこち探して樹に辿りついた時には、もうかなり薄暗くなってしまいました。

 そんな残り日の中、「沢尻の大ヒノキ」は巨大な影のようになりながら、いかめしい姿で直立していました。
 「ヒノキ」と呼ばれていますが、樹種はサワラ。
 それも、日本最大のサワラの巨樹です。


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 トップの写真でも見てもらえるように、かなり開けた田んぼ地帯のただ中に、孤立して立っています。
 まごうことなき一本の樹、この地域に入ってくれば、すぐにそれだとわかる存在感。
 枝自体はそこそこ高い位置にあるものの、根元を覆うような低さまでしだれているのが特徴的です。

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 サワラであるのに、大ヒノキという名前で呼ばれている。
 これは、古くからこの地域でその名で呼ばれていたという慣習が残ったものらしいです。
 我が地元の巨樹、「府馬の大クス」と同様の状態なわけですね(府馬の大クスは実際はタブの樹)。
 実際、サワラとヒノキは近い種類ということで、見分け方は、「葉の先端が尖っているとサワラ、丸いとヒノキ」とのことですが……並べてくれないとわからないかもしれないです(笑)。

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 書いた覚えがないので調べてみると、サワラは漢字で書くと「椹」のようです。
 魚のサワラが魚偏に春(鰆)という字だから、つい木偏に春と書きそうですが、それでは「椿(ツバキ)」ですね。
 この樹を見てもわかる通り、樹木のサワラは冬でも葉が緑で、季節は関係なさそうな樹ではあります。

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 非常にどっしりとした根。
 開けた地形では時に強風にも晒されるでしょうが、高い樹高を支えるためにめきめきと発達したことが伺えます。

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 小枝が多く、樹冠の下に入ると息苦しさを感じるようですが、枯れているものは、この樹に絡みついていたツタ植物の残骸のようです。
 解説文を読むと、ツルマサキやキヅタだということで、ツタ類にしてはこれもかなり大型に育っていた様子。
 おそらく、サワラに悪影響があったのでしょう、現在は切断されています。

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 ばりばりとめくれ上がった樹皮、ごつい幹。
 サワラにせよヒノキにせよ、ここまでの巨樹はそうそうないはず。
 もともとスギほどには大きくならないのでしょうし、何より、建材に家具に桶に……など、利用価値が非常に高いので、伐採される確率も高いのではないでしょうか。
 冬の夕暮れの冷たい空気の中で幹に手のひらを当ててみると、気のせいではなく、若干の暖かみを感じました。
 樹皮自体も柔らかい。
 こんな巨樹であるのに健康そうで、嬉しくなりました。

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 樹の近くには、鳥居と祠、石碑があります。
 おそらく小型の神社の意味合いを持つのでしょうが、石碑には「頌徳碑 陸軍少佐 宇佐見利治翁」とあり、頌徳(しょうとく)、すなわち、その徳を讃えるという意味のもののようです。
 この土地とサワラの樹を管理しているのが宇佐見さんという方だそうで、そのご先祖様にまつわるものなのですね。
 周囲もちゃんと整備してあり、巨樹を心地よく訪ねることができます。
 ありがたいことです。

sawajiri1507.jpg

 解説文。

 それにしても。
 撮っている間にも、どんどん暗くなっていき、おなじみシグマ DP2での写真は(今回も)あえなく全滅でした。
 この時はまだフルサイズのカメラはなかったので、コンデジであるMX-1と、高感度設定固定のK-7(ノイズで遊ぶための難物 笑)での撮影となってしまいました。
 樹のディテールが伝わらなかったり、色味が表しきれていないところがあると思います。
 そういうのは自分でも無念だし、せっかく興味を抱いて見てくださった方にも失礼というか何というか……。
 高感度化で好転はするはずですが、場合によっては、何かしらの照明の準備と長時間露光なども試みた方がいいのかもな、と思ったりもしました。

sawajiri1508.jpg

sawajiri1514.jpg

 そう苦労しながら、樹と、我々。


「沢尻の大ヒノキ(サワラ)」
福島県いわき市川前町上桶売字上沢尻
樹齢:800年
樹種:サワラ
樹高:34.3メートル
幹周:10メートル

>> 2016/12/03 20:25
1枚目の写真、いいですねぇ…
ぐっと引き込まれます。
(私、こういう写真が撮りたいんです、ほんとは
 でも撮れていない(笑))

立派な幹にはりついたツタの枯れ木が、装飾品みたいです。
今となってはあったほうがよかったですよね。
ツタだって、相当な樹齢があるんだろうなぁ。
>> 2016/12/03 22:11
サワラの巨樹ですか!
珍しいですね、はじめて知りました。
魚のサワラは関西ではメジャーなのでよく食べますけど(笑)。

ちょっと調べてみたんですが、本当に貴重な巨樹のようですね。
サワラでは北限に近いといわれる場所で、しかも日本一だなんて!!
その立ち姿からも自負ともとれるような威厳が感じられます。

常緑針葉樹で、これだけ枝も広がっていれば心配になるのが雪。
想像もつかないような重さに長年耐え続けているんでしょうね。
ただでさえ厳しい気候なのに、守るべきものが無い場所に存在し、
気の遠くなるような年月こうしていられるのはもはや奇跡レベルでしょう。

そんな状態である巨樹からは、強さだけを感じていましたが、
樹皮自体が柔らかく、暖かみまで感じられるなんて・・・。
いやぁ意外性もある巨樹ですね。

冬の撮影は色々と苦労もありますね。
樹種も常緑のクスノキやスギばかりになってしまいそうですが、
機材や道具、撮影方法も工夫しなくては!

>> 2016/12/05 19:52
ぴよ社長さん>
ヨッパライ旅行に4時起きで出かけなければならなかったので、お返事遅れてすみません。
冬の、「早くウチに帰った方がいいよ」感がよく出てしまいました。
そう、ツタ植物も、結構な立派さだったと言えば言えるでしょうね。
ただまあ、何かに絡みつかないと生きていけないその習性が致し方ないところですね……。
>> 2016/12/05 20:09
RYO-JIさん>
こちらもすみません。
そして毎度どうも、熱意溢れるコメントをありがとうございます。
姿からも、全く、孤高の樹という感じを受けました。
ヒノキ科の樹は、建材などに多用されるので、杉と同じようにでかく育つ印象だったのですが、巨樹を追うようになって、実際はそうではないということがわかりましたね。
そうそう幹周10メートルを超えて存在しているものがなく、この夏も、7メートルあるというヒノキを見に行ったら、切り倒された後でした(泣)。
色々な条件に耐え抜く他に、個体数を残すという能力も必要なのだと思います。

可能であれば直接触れてもみるんですが、スギやヒノキなど、樹皮が柔らかい樹はあったかく感じますね。
あのでかいホオノキやケヤキの巨樹なんかは、身がしまって岩石のようでしたけど……(笑)。

薄暗くなってからの撮影となるので、三脚使え! の一言ですが、車を降りてちょっと歩かなければならない場合、あとは引き返す余裕がない場合など、判断を誤ると勿体無いですねえ。
覚悟を決めて任務に打ち込め! ってことですね。








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狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
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