2017/10/26//Thu.
巨樹を訪ねる 川古のクス
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K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 佐賀県武雄市、巨大クスノキ3番勝負、トリを飾るのは前2本から少し離れた位置にある「川古のクス」です。
 「塚崎の大楠」幹周13.6メートル、「武雄の大楠」幹周20メートル……ときて、この樹の幹周はなんと21メートルだそうです。
 佐賀県で最大の樹であり、全国でも第5位の巨樹、その樹齢は3000年!


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 ……という情報を抱えてきたのですが、いい天気のもと(10月なのに気温30℃)、大楠公園の中で元気いっぱいに生きてるこんな樹だったとは。
 これはちょっと意外でした。

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 同じ樹齢3000年の「武雄の大楠」の荘厳さとは打って変わって……と言っていいと思います。
 豊かで新しい緑色の枝葉には、ちょっと若々しささえ感じます。
 
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 とはいえ、やはり超長寿を生きてきた樹であることは間違いなく、ぐるっと取りながら反対側に来てみると、樹勢回復の手術を受けた跡がありありと残っていました。
 えぐれたようになった部分は、もともと空洞だったようでもありますが、樹脂かウレタンのようなもので塞がれています。
 このおかげもあってか今は健康に生きられているようで、科学という人の知恵もなかなかのものだなあと思いました。
 おかげで随分と親しみやすい、明るい性格の樹のようにも感じました。

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 唖然とするほど巨大な幹……というより、まるで岩山です。
 根周りは30メートル以上、目通り以上でも11メートルを超える太さがあるそうで、まさに巨樹中の巨樹という大きさです。
 これだけの主幹に洞が空いていると、どうしても祠を作らずにはいられなくなるようですね。

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 樹の脇にはもうひとつ別にお堂があります。
 かつて名僧・行基がこの樹の芯に直接掘りつけたと伝承される観音像が、今は別個に安置されています。

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 行基が活躍したのが、西暦だと700年前後、奈良時代とのこと。
 この観音像が本当に行基の作だとすると、その頃にはすでに主幹に等身大の観音像を刻むことができる大きさだったということなのでしょう。
 行基は東大寺の大仏建立の責任者であり、東大寺の四聖のひとりとされているすごく偉いお坊さんです。
 無数のお寺を開き、各地で土木工事を指揮し、空海とまではいかないまでも数々の功績と伝承が各地に伝えられています。

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 これがその観音像。
 高僧として聞こえる行基サンが樹をいじめていいのか? と誰でも思うことでしょうが、考えてみると樹はどれでも芯の部分の細胞はすでに死んで硬化しており、その上に次々と年輪を重ねていくという生き物なのでした。
 観音像はのっぺらぼうのようですが……これは、その後の歴史、廃仏棄釈令の時に顔を剥ぎ取られたためです。 
 巨樹を削って仏の姿を作り、また別のある時その顔を削り落とすような真似をする……人とは、そういう生き物なのでした。

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 解説文。
 観音像が剥落してしまうほど、かつては幹が傷んでいたということなのでしょうか。
 ちなみに、行基の彫像伝説の他にも、解説中の「肥前国風土記」では、日本武尊(ヤマトタケル)がこの樹を見て感嘆し、この地を「栄国(さかのくに)」と名付けたのが「佐賀」の名の元だという話もあるそうで……(先人のサイトによる)。
 日本武尊!? と、もはや歴史というより神話の域に入っていますが、さすが樹齢3000年ともなるといわくのレベルも段違いです。
 伝説の靄の中から形を得、長い歴史を経て今に至る……その間ずっと生き続けた姿がこの樹なのだと想像するのは、とてもロマンがありますね。

 現在は信仰対象というよりは公園の樹という感じですが、皆に親しまれ、大事にされて、4000年、5000年と歴史を重ねていって欲しいものです。


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「川古のクス」
 佐賀県武雄市若木町川古 日子神社 川古の大楠公園
 樹齢:3000年
 樹種:クスノキ
 樹高:25メートル
 幹周:21メートル
>> 2017/10/26 21:48
幹周21m、樹齢3000年・・・。
なんか感覚がおかしくなってきそうな数字ですねぇ。
でもこの写真の数々を見ると、それも頷ける程の驚愕の巨大さ。
周囲の環境もあってか、確かに若々しく見えますね。
畏怖というより、明るく元気をもらえそうな巨樹。
私が以前見た、長太の大クスのような感覚かなぁと想像しました。
でも実際に目にしたら、まずその巨大さに唖然としてしまいそうで(笑)。
行基や日本武尊などの偉人にまつわる伝説があるということも、
このクスの凄さがわかりますね。
いわれを知ることができるのも巨樹巡りの醍醐味の一つだと改めて感じます。
それにしても佐賀の巨大クス3番勝負、お見事でした。
>> 2017/10/27 00:40
これまた健康そうな3000年様ですね。
好き勝手全方位に枝を伸ばす様を見ていると爽快感すら感じます。

しかしこんなに何も無いところで落雷とか大丈夫なの?と思ったら、側にしっかり避雷針まで設置してあるとは。人間も樹木に負けず劣らずやるもんですねえ。
>> 2017/10/27 15:11
RYO-JIさん>
今回の楠ラッシュで、僕の感覚は完全におかしくなりました(笑)。
まあ、また杉の樹には違った高さや形状があるし、存在感の違いはあるんですが、幹のでかさ加減では楠の独壇場ですね。
この川古のクスは、データや記事だけではどんな重々しい樹なのだろうと思っていたのですが、やはり実際訪ねて感じるというのは重要なことだと思いました。
行基が活躍していたのも、古事記が編纂されたのも1200年くらい前なので、おそらくその頃には巨樹として存在していたのでしょう。
だから3000年は確証がないにしても、2000年近くは生きている可能性が高いと思いますね。
幹だけでなく、歴史も分厚い樹たちでした。
それが伝わればと思います。
>> 2017/10/27 15:18
to-fuさん>
あれ、こっちもこれで3000年選手? とか思ってしまいました。
(3000年選手って言葉、ものすごいな)
一番大きい樹ですが、一番健康そうに見えました。
周囲の環境がいいのかもしれません。

そう、確かにちゃんとありましたね、避雷針。
国指定の天然記念物ですから、その辺はちゃんと気遣われています。
ものによっては、樹自体にアースしてあるものも多いのですが(笑)。
しかし、おそらく1200年以上前には主幹に大きな空洞があったようなので、その頃、一発食らった記憶はあるのかもしれませんね。
南側に大枝がないので、その落雷でもげたのかも。
樹勢回復の手当てって効果あるんだなあ、やるなあ樹木医、と、関心して眺めてきました。








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スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文。
スバル・フォレスターが来て、調子に乗っているようです。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」

・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
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