2018/03/04//Sun.
巨樹を訪ねる 治郎兵衛のイチイ
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K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 石徹白集落から山間の道路をくるくる走り、おそらくかなり間違ったルート取りで危なっかしい山道を走り抜け、高山市に入りました。
 ここで目指すのは日本最大のイチイの樹であるという「治郎兵衛のイチイ」です。
 国指定の天然記念物であり、有名な樹なので、道路にも看板があり、迷うこともありませんでした。

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 巨樹巡りを始めるより以前、興味があって古本屋で巨樹の本を買い、この樹のことを読みました。
 どれでもその種類で最大の個体と書かれると気を引かれるものですが、この樹はいつか実際に見に行きたいと思っていました。
 本に載っていたのは確か30年くらい前の写真だったと思いますが、その佇まいの雰囲気にも誘われるものがあったのだと思います。
 それから30年ばかり経って……ついにその場を訪ねて見ると、少し想像とは違っていました。

 有名な樹なので見にくる人も大勢いるのでしょう、駐車場もあるし、トイレもある。
 ここまでしっかり整備されているとは……(もちろんありがたく活用させてもらいます)。
 秋口ですが、花壇も綺麗に作られていて、とてものどかでいい環境。
 このトイレのところに解説板があり、自ずと説明を読んでから樹と対面する形になります。
 いつもとは逆順ですが……。

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 曰く。
 この樹は鈴木さんの家(屋号:治郎兵衛)の持ち物だそうで、その墓標として守られて来たものである。
 では、見に行きましょう。

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 ほどなくして、公園のように開けた場所に出、ひときわ大きいその樹影に対面することができます。
 これが「次郎兵衛のイチイ」。

 第一印象は、ずばり言って、「そんなに大きくないな……」という感じ。
 しかしそれは、これまでいくつも馬鹿でかい(失礼)クスやスギたちを見てしまったからです。
 話によると樹高の面ではもっと高いイチイもあるそうですが、目通り太さ8メートルという点でこの樹が最大。

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 そして、解説の通り、すぐ手前にお墓がある。
 ふと見回してみると、周囲にもお墓とセットになった樹が転々と生えているのに気づきます。
 これもイチイの大木。

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 そして、こちらのお宅では杉を選んだようです。
 つまり、ここは古くから墓地だったということでしょう。

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 今は冬枯れていますが、季節になれば斜面にササユリの群生も見られるようです。
 とてもきれいな、いい環境です。
 お墓だったからこそ、皆が気を遣って過ごす場所でもあったことでしょう。

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 治郎兵衛のイチイに戻って。
 書籍で見た段階で、多くの巨樹の中から興味を引かれた点と言えば、樹齢2000年という途方もない数値。
 長寿である杉にもなかなか2000年という樹はありません。
 そして、それに相応するかのような、独特な姿が印象的でした。

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 これが巨樹としてのイチイの姿。
 まるで細い無数の樹が束になったかのようにも見えます。
 今しもばらばらにほどけてしまいそうなそれらがまとまって、しかも急角度に傾いて育っている。

 杉や樟などは根元の方が倍も大きく膨れ上がっているものですが、この樹は全く逆、だいぶ細くなっているのが面白いです。
 そこから幹が太くなっていき、目通りほどのところで最大に。
 この部分を客観的に見ると、確かにすごく太い。
 斜面にかかる重力によって、束になっている部分が裂けて来ているようにも見えます。

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 さて、一方で樹齢2000年というリアリティはどうだろうかと考えました。
 いい環境にあって樹勢も良いので若々しく感じたのかもしれませんが、鈴木家のお墓とセットということになると、鈴木家が2000年前からあったというような気がしてきませんか。
 ……もちろんそれはちょっと違う話のようで、文をもう一度読んで見ると、「墓標として」とあります。
 つまりはこの樹そのものを鈴木家の墓標としたということであって、お墓を建てる前からこの樹があったということなのでしょう。

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 とは言え、2000年というのはどうか。
 やはりそれはちょっと大げさなようで、環境庁による推定では1000年というデータが出ているそうです。
 1000年でもすごいと思います!

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 イチイは本州から樺太にまで生える寒さに強い樹。
 アララギというのは、イチイの別名だそうです。

 真っ赤な実の残りがついていました。
 この果実は甘くて食べられるんですが、タネにはアルカロイドが入っているので、毒。
 調べてみると、葉や果実以外の全てにアルカロイドがあるらしいです。
 しかし、イチイってお箸の材料になったりするらしいんですが……微量だから大丈夫なのかな。

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 いわゆる巨大な樹「巨樹」として見にくると、ちょっと迫力不足かもしれません。
 しかし、樹を墓標とするという文化も含め、その存在自体が貴重であることは確かです。
 1000年生きたイチイの樹がどんな姿になるかを知るには、この樹を見るしかない。
 いや、こうして大事にされているのであれば、この先ずっと長く、それこそ2000歳まで姿を見せてくれるかもしれませんね。

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「治郎兵衛のイチイ」
 岐阜県高山市荘川町惣則
 樹齢:1000年
 樹種:イチイ
 樹高:15メートル
 幹周:8メートル
>> 2018/03/05 22:17
いい天気ですね(笑)。
やはり巨樹探訪時はこういう天気が望ましい。
まぁ雨の時にしか見られない表情もあるので、それはそれで印象に残りますね。
春夏秋冬、晴れ曇り雨、朝昼晩とそれぞれ違う状況で見たいのが本音ですが、
さすがに身が持たないでしょう(笑)。

樹齢に関しては、あくまでも見た目の判断になってしまいますよね。
自分の場合、1000年も2000年も途方過ぎて区別がつかないかもしれません(笑)。
イチイの巨樹はまだ見たことないので新鮮です。
特に幹が変わってますね。
ほんとバラバラになりそう・・・。
近くにないかとちょっと調べましたが、大きいのは無さそうで残念。
この次郎兵衛のイチイがいいなぁと思ったのは、まるでお墓を守っているかのように
優しく覆いかぶさって見える点。
根元が細いのも、このイチイの意志でわざわざお墓を避けるようにして成長し、
お墓の高さを超えた辺りでグワ~ンと太くなっているみたいで。
どうせなら自分もこんなお墓がいいなぁと思ったり(笑)。
>> 2018/03/06 15:05
RYO-JIさん>
ポカーンといい天気でした。笑
この樹にはこの天気と環境がよく似合うような気がします。
確かに雨や雪の中で向かい合うのもいいものです。
その時にしか見せてくれない顔を見せてくれますよね。

イチイは確かにあまり無いですよね。
寒さに強いので、北海道にも大きいのがあるみたいですが、うちの方でもとんと目立ちません。
急角度で、まさか倒れてこないだろうね……という感じですが、樹は活き活きとしているので、まだ当分大丈夫そうです。
自分の家のお墓にシンボルツリーがあるなんて、いいですよね。
ましてやそれが日本一の樹。自慢したいです。笑
1000年でも2000年でも、命続く限り見守ってくれる。
この文化は巨樹とともに大事にして欲しいと思いました。
>> 2018/03/06 18:05
あぁ、これは!
つい先日ちょうどその本を読んだので見たばかりです 笑

しかしこうして見ると、巨樹そのものの魅力もさることながら集落が本当に綺麗ですね。お墓の周辺が神経質なまでにピシッと手入れされているあたり、景観維持への力の入れように感心してしまいます。集落散策マニアとしては是非訪れてみたいポイントです。
>> 2018/03/07 08:51
to-fuさん>
おおっ。やはり目を引きますよね(笑)。
行ってみたいな、でもすごく遠いな……と数年来思ってたんですが、たどり着いてしまいました。

そうなんですよ、大変行き届いていて、単に自治体とかがお金をぶっこんで観光地化しました、終わり、というパターンとは違う感じです。
柵がないので隣に立って撮りたい気もあったんですが、周囲が綺麗すぎて踏みたくないし、第一お墓だしで、やめておきました。
まばらに点在しているような集落だったと思いますが、天気のいい日に自転車で……と散策するなら確かに気持ち良さそう。
食堂や食料品店がないので、飢餓に注意です!








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