2018/03/06//Tue.
巨樹を訪ねる 千光寺の五本杉
gifu1767.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 いまいちスッキリしない気分。
 「千光寺の五本杉」を見た感想を一言で書くとそういう感じでした……。

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 この旅でも、やはり多数の杉の巨樹を眺めることになりました。
 もとより候補がたくさんあるので、その中から「これは!」というものの元を訪れることになる。
 もちろん「千光寺の五本杉」も「これは!」と思ったのですが、目の前に立って、こんな気分になるというのは、自分が悪いのでしょうか。
 馬鹿だからいけないのかな。

 千光寺は格式高い古刹で、かの円空が滞在し、たくさん木像を作ったお寺という点でも知られています。
 両面宿儺の図像が高山市内でもチラチラと見られたのも覚えています。
 その千光寺へ登っていく道の傍、杉林の中にこの五本杉が存在している。
 道からはぱっと見わからないのですが、その代わりにでっかい看板と駐車場があるので、見落とすこともない。
 そこにある文句……「国指定天然記念物 五本杉 樹齢1200年」。
 書籍やらサイトやらで見た写真の印象はいかにも立派で、気分を高められ、杉の元へ山道を下って行く感じです。

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 そうして、前に立った。
 しかし……なんだろう、この感じは。
 印象に残る杉の巨樹の登場の仕方……あの、ちょっと勿体ぶってその巨体が現れた時の、初見の驚き、心を揺さぶられる感じ。
 あれが、ほとんど無かったのはどうしてだろう……。 

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 もちろん、能書きはいいんです。
 自分で見て感じたことが全て、単幹だとか合体樹だとかもどうでもいい。
 これまでの旅で見たもの、記録したことがそれを物語ってくれているとも思う。
 だけど、それにしても……この樹は、なんか足りない。
 感じたことを素直に書くのがこの探訪記であるというなら、そう書かざるを得なくなってしまうのです。

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 まず、樹齢1200年というのは全然違うと思う。
 素人の僕でもわかります。
 同じ日に「石徹白の大杉」の前に立ってしまったのがかなり悪かったのだと思いますが……この五本杉は明らかにもっともっとずっと若い。
 素人の推察を述べさせてもらえれば、おそらく300年くらいでしかないと思います。

 この、絶対的に若いというのがいけないところです。
 それなのに樹齢1200年と言われ、国の天然記念物に指定されてしまっている。
 これが、なんで?
 と、ちょっと思ってしまった、ちっぽけな人間です。
 これが1200歳で国指定天然記念物なら、(どれとは言いませんが)「あれ」や「それ」は、どうなるんだ。
 どうして、これが。

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 嫌な人間です、僕は。
 すっかりマニアになって、きっと純粋に感動ができなくなってしまっているんだ。

 しかし、どうしても。
 まだまだこの樹は若すぎるし、これからすぎる。
 そういう思いが汲めども湧いてきます。
 樹高はとびきり高くて50メートルもあるし、アンバランスなくらい天を突いている。
 揃いも揃って5本、そんな高いというのはすごいけど……ただ同時に植えられた5本の樹がそれなりに育ったようにしか見えない。
 背が高いというだけなら周囲の普通の杉も同じくらいあるし、太さだって同じくらいだ。
 だからつまり、どうしてもまだまだなのです。
 巨樹として見るからには個性がなくてはいけない。
 逆に言えば、さほど巨大でなくとも強い個性こそが感じたいのです。
 合体樹としての、あのいかにも「やり過ぎだろ!」的な迫力を醸し出すにも、まだまだ何百年も必要でしょう。
 見るのに早すぎる、未成熟な巨樹を見てしまう感じがします。

 何度も言いますが、僕は大変ちっぽけな人間です。
 そして、この杉たちが悪い樹だという訳じゃない。とても立派だ。
 だけど、この樹の樹齢を大きく誇張したり、どういうルートでか国指定天然記念物にしてしまったりというのは……フェアでない感じがどうしても払い切れませんでした。
 それだけ日本という国は立派で魅力的な樹に恵まれているという証拠でもあるかもしれません。
 他にも強者はたくさんいるんだぜ。
 つけられたタイトルやスペックからだけでなく、感じたことをそのまま言ったっていいはずだと思った次第です。

 これから1000年です。
 他がどんどん倒れる中でバリバリ巨大になっていってくれ、と五本杉に願いたいと思いました。
 こんな気持ちになるなんて(でも、初めて、とは言いません)。



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「千光寺の五本杉」
 岐阜県高山市丹生川町下保 千光寺
 樹齢:1200年(……?)
 樹種:スギ
 樹高:50メートル
 幹周:12メートル
>> 2018/03/07 20:07
うーん…僕は実物を見たわけではないので木そのものから受けた印象は控えたいところですが、この朽ち果てたしめ縄を見るだけで如何にも大切にされていない感じが伝わってきて悲しくなりました。

何はともあれこの五本杉には何の罪もありませんので、このまま伸び伸びと成長していってほしいものですね。
>> 2018/03/08 21:00
to-fuさん>
他のものももちろんそうですが、巨樹に対する人の関わり方がどうあるべきなのかを考える事例だったと思います。
評価する人に恵まれたと言えば言えるのですが、背後にあるでかいお寺の存在がどうにも……。
いや、改めて考えてみると立派な樹ではあるんですよ。
岐阜県の巨樹のレベルが高すぎるということもあったと思います。。

僕も注連縄の具合を見てがっかりした第一印象でした。
国の天然記念物にしといてこれか? お寺の呼び物のひとつになってるんじゃないのか? と。
後から調べてみると、7年ごとに注連縄をかけ替えるしきたりだそうで。
あくまでも7年間は処理しちゃいけないものなんでしょうかね。
キノコとかきっと生えるでしょうし、樹にとっては良くないです!
>> 2018/03/08 21:16
いや、狛さん、正直でいいですよ!
むしろ国の天然記念物という肩書に遠慮して、無理矢理誉め言葉を紡いでいくようなことをしない姿勢に拍手です。
学術的に非常に貴重なものであるという理由であれば別ですが、他と比較するとちょっとどうもねぇ。
大人の事情がありそうだと邪推しちゃいます。
この五本杉が悪いんじゃないんですけど。
私も訪問前はwebや書籍である程度調べて行く行かないの判断をしていますが、
今後もでいるだけ先入観なく実際に対峙した時の気持ちを大切にしたいと思います。
>> 2018/03/09 21:32
RYO-JIさん>
すいません、あまりにも私的な観点で書いてるなこいつ、と自分で引いてましたが、そう言っていただけると。。
でも、数を見て行くと、国の天然記念物だからって必ずしもスゴいとは限らないという例がありますよね……。
見に行くきっかけにはなるんだけど、実際に目の当たりにした時の素直な感想をどう処理するか、ちょいとばかりムニャムニャします。
まあでも、それこそ何も知識がない状態で行った方が感動できたかもしれないのですが……それもちょっと無理かなと。
えこひいきはしない!!
これですかね(笑)。








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