2018/03/24//Sat.
巨樹を訪ねる 加子母の杉
IMGP7171.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 岐阜県をぐっと南下し、中津川市までやって来ました。
 全く、データブックだけを当たっても岐阜県の巨樹は大変に豪勢なラインナップで、限られた手数でどれを訪ねようか迷うことになります。
 車中思案した結果、都合の良いルート上にあってぜひ見るべきと感じたのが、この「加子母(かしも)の杉」。


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 国の天然記念物指定を受けている有名な樹で、かつ、その名も「加子母大杉地蔵尊」という、そのものズバリなお寺にあるので、迷うこともありません。
 これまで、山中を走ることも多かったので、安定して訪ねられる巨樹の方が……と、そういう心境だったかもしれませんが。
 近くまで来ると、もはや探すまでもなく、寺よりもよほど目立つ杉の巨体が目に入ります。
 あれだ。
 あれじゃなかったら、逆にすごい。

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 1枚目の写真のように、お寺の背後に大杉がある。
 というか、大杉の手前にお寺を作ったというのが正しいのでしょう。
 お地蔵様で、ご利益はもちろん、無病息災、長寿。

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 わかりやすいパンフレットもあったんですが、撮り終わったらもらおうと思って、見事に忘れて来ました。

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 お参りが済んだら、裏手へ。
 どーんと巨大な姿が目に入ります。
 これも、もはや目に入るというか、視界が塞がるという方がはるかに正しい感覚です。

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 出ました、これが加子母の杉。
 説明全く不要、見たままの純粋な単幹のばかでかい杉です!
 杉。
 以上、質問は受け付けません。
 そういう問答無用の迫力を帯びています。

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 お堂と杉を保護する柵の間隔がかなり狭く、撮るのに苦労します。
 近づけないのはやむなし、ぐるぐると周囲を回って撮ることになりますが、果たして、どの角度から見てもほとんど姿が変わらない。
 質実剛健この上ない、絵に描いたような杉の幹姿。

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 樹齢は1300年とか。
 それでなお、かなり樹勢が良いように見えます。
 大正13年に天然記念物指定される前から、地蔵尊込みで保護されて来たおかげでしょうか。
 囲いの面積は広いですが、長く伸びて枝垂れた太枝の保護にも役立っています。

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 目通りの幹周は、この一本幹で驚愕の13メートル。
 側に立てないのが悔しい、驚くべき巨大さです。
 柵にへばりついて、最も近い位置で眺めると、視界は全て幹で埋まってしまいます。

 いわば、超弩級のノーマルな杉。
 普通の杉の木をトカゲとするなら、この樹は恐竜です。
 姿は似ているけれど、何かが完全に違う。
 そういう突出した存在感こそが、人々を突き動かしてお寺を建立させてしまうのでしょう。

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 枝も太く、よく見ればかつて折れたようなところもありますが、健全。
 高いものだと50メートルにもなる杉ですが、この樹の樹高は30メートル。
 落雷のせいだと言われ、昭和50年代に避雷針を設置した時に上部を観察したところ、先端部は4平米ほどの平面になっていたとか。
 4平米って……1坪が3.3平米なんですが……なんというでかさ。

 落雷で短くなりはしても、炎上しなくてよかった。
 はるか頭上に苔むしたところやシダが着生しているところもあり、より生命力の力強さを感じさせます。
 ジュラシックです。

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 この旅でも色々な杉の巨樹を見ましたが、これほど何の不安もなく見ていられる杉は他にないと思いました。
 この先もずっとこの姿で生きるでしょうし、あやかって長寿の願掛けがあっても、いかにもご利益がありそうです。

 反面、野獣的な裏杉の躍動感や、多頭樹(合成語)の奇妙奇天烈さなどはありません。
 そう、ただただ物凄く巨大な杉という存在なので、ふらっと立ち寄った観光の方々はあっという間に一周して、あっという間に立ち去って行きます(笑)。
 これを察したお寺側が気を利かせたのか、この樹にもお約束のアレがありました。
 すなわち、「源頼朝が地面に杖をさしたらーーー」

 地蔵尊は924年創建だとされ、伝承ではその時にはすでに大樹であったらしい。
 頼朝サンは1147年生まれであるし、他にも矛盾する伝承があるのですが、まあ、そこは。

 地蔵尊には他に文覚上人のお墓というものがあり、奇祭「なめくじ祭り」が催されます。
 曰く……

 上人は若いころ、人妻である袈裟御前に恋をして、誤って殺害。罪を悔いて出家する。
 仏教の九万九千日に当たるこの日は、袈裟御前の命日にも当たり、今は罪を許した彼女はナメクジに化身して上人を慕い、墓を這う。

 多い時は100匹ものなめくじがお墓を登るらしく、人気になっているお祭りらしい……。

 人々の文化と心の拠り所である点でも、とてもスタンダードでしっかりとした、巨樹の代表のような存在でした。



IMGP7215.jpg

「加子母の杉」
 岐阜県中津川市加子母 大杉地蔵尊
 樹齢:1300年
 樹種:スギ
 樹高:30メートル
 幹周:13メートル
>> 2018/03/24 17:01
まるで積乱雲のような杉ですねー。
周囲にあるのが低木だからなのか、もっと樹高がありそうに見えます。まるでジャングルジムがレゴブロックのようだ。

小技の効いた杉もいいですが、こういうズドンと直線的に突き抜けるような杉はやっぱり見ていて気持ち良いですね。写真を見ているだけでも吹き抜ける爽やかな風を感じます。
>> 2018/03/24 22:53
なんでナメクジになっちゃったんだろ。
ナメクジを選んでしまったのだろうか。
もうちょっとかわいらしいのにしたらよかったのに。
…引っかかったのがそこなのかよw

あゝとても見ていて気持ちいい杉ですね。
見たまんまっていうか。
無駄に考えることを許さない雰囲気醸し出していて。

この時期は杉に敵対心しか持てないのが悲しいですけども(´;ω;`)
>> 2018/03/25 08:24
to-fuさん>
確かに、縦にでかくて巻き起こっているかのような姿に見えますね。
こうした太い幹を見ると、もっともっと高さを支えられるのに、という樹本来の意気込み、力みみたいなものを感じますね。
低くなってしまったのは残念ですが、これだけ周囲から図抜けて高くなってしまうと、仕方ないか……。

小細工の全くないザ・巨樹という感じがして、爽快です。
素直にでけーー!!と仰ぎ見ることができる存在。
気の優しい巨大草食恐竜みたいな感じでしょうか。
京都の芦生杉は肉食恐竜の群れです。
>> 2018/03/25 08:29
さかしたさん>
あれですかね、お菊虫的な……。
じっとり這い上ってくる感なんですかね、ちょっとコワイ。

ウンウン、本来巨樹ってったらコレだよな、という納得感です。
それだけ、古来から恵まれた環境で生き続けてきたのだと思うと、幸せな樹だとも言えます。
ねじれたり折れたり多頭になったり……そうなる理由がなかったんですね。
まっすぐ生きていくって素晴らしいなあ。
折れて短くなったということがあれど、理想形に近い。

僕も花粉症が目を覚ましたらしいですが、ヘビーな杉アレルギーの父とはタイミングが違うので……何の植物??
杉アレルギーで巨樹巡りったら、例の猫アレルギー・イン・猫バスに等しい。
>> 2018/03/29 20:51
一見して、『緑色のピグモン?いや、緑色のムック?』と思ってしまいました(笑)。
こんなムクムクの杉はあまり見たことないですね。
ちょっと可愛くも感じてしまったり。
しかし、実際のサイズは可愛いなんて言えるレベルじゃなくて、レジェンドクラス。
表現するのが難しい奇妙奇天烈な杉ではなく、ズドーンと単純明快に圧倒的なまでの巨樹。
いいですね!好きです!!

逸話もいいじゃないですか~。
最近では、眉唾だろうがそんな話の一つや二つ無いと物足りなく思ってしまうことも(笑)。
なめくじ祭りは流石に???ですが・・・。
>> 2018/03/30 10:05
RYO-JIさん>
遠くから見ると超巨大ムックっぽいですね(笑)。
改めて見ると、先が折れたというのは納得できる樹形です。
杉っぽい三角のシルエットではなくなってるので、そこを考えると完全にスタンダードではないかも。
一本幹、巨大でありながら無事ってのがいるのか……と思うんですが、記憶をたどると、いたんですよね……諸事情でまだ記事にできてないんですが……。

最初に樹ありき。
で、伝説の方が樹のもとに寄り集まって来たような印象です。
ここものんびりとしたところで、この樹はドンと目立ちますからね。
これ以上ないシンボルツリーです。








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