2018/05/30//Wed.
巨樹を訪ねる 千足杉
fukui1817.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 突然の出会いで予備知識も心構えも準備もなく、しかも時刻は24時、水銀灯の偏った灯だけが照らす中で、感度を極端に上げての撮影。
 当然、成果としても思ったようにはいかず、本当は取り上げるつもりではなかったのですが、旅を振り返っているうちに気持ちが変わり、編集してみることにしました。
 越前町の峠道のど真ん中に突如現れる「千足杉」です。


fukui1818.jpg

 ISO感度12800まで上げているので、全体的に明るく写っていますが、肉眼だと相当暗い。
 水銀灯の明かりが闇を一層黒く沈ませるようで、そんな中に突然思いもしない杉が現れるものだから、あっ! と声を上げてブレーキをかけてしまうのも無理はなく……。
 全体像が容易に闇から浮かび上がらず、素通りしようとすると、側面で想像より大きい樹であることを知らされ、また引き止められる。
 二本の幹を持つ裏杉……その存在感がざわざわと心を揺さぶってきます。

fukui1821.jpg

 明かりの種類が悪い。
 杉の肌をとにかく不気味な陰影で浮かび上がらせておきながら、最上部は闇に飲まれるに任せている。
 怖がりながらファインダーを覗いていると、しーんと静まり返っている周囲の山の中で、いきなりバタバタッと何かが音を立て、慌てふためく。
 撮影していても、どうにも背筋がそわそわするようなところがあり、落ち着きませんでした。

fukui1819.jpg

 別に不吉な場所でもないでしょうが、不吉でなくとも不気味なものはいるかもしれませんね。
 峠の中央分離帯というこの立地は、以前茨城の山奥で遭遇した「本山の一本杉」と同じケースですが、やはり特別な意味を勘ぐらずにはいられません。
 そこから、何かしらの予感が差してきて、どうしても落ち着かなくなるのでしょう。

fukui1820.jpg

 どうやら「千足杉」というらしい。
 この樹については、参照にさせてもらっている書籍やサイトにも一切載っていませんが、さすが地元、越前町の観光サイトに貴重な記述がありました。
 ついでに昼間の姿も見ることができます。
 結局翌日は別ルートを走ることになってしまったので、実際はどう見えるのか撮れていず、ありがたく思いました。

 「えちぜんナビ」

「越前町寺の道路の真ん中にある、高さ23m、根回り4.2mの杉。町の天然記念物に指定されています。昔、旅人がワラジをここで履き替え残していき、それが多くたまったことで千足杉と呼ばれることになったと言われています。」

 なるほど、そういう意味があって名前がついているとは。
 ここまで登ってきて草鞋がダメになるからなのか、それともこの先気を引き締めよという意味で新しい草鞋をおろしたのか。
 道からすればどちらでも話が通りそうです。
 それでなければ、そうして祈ることで水虫が治るとか。
 うーん、このパターンだったら今でもご利益を謳っていそうなので、これではないかなと。
 そういう前例が多いと何かの縁起をかついで真似したくなるものなのかも知れません。

 真夜中の闇の中、不意打ちのように向こうから現れた巨樹。
 想定外のことで、なかなか印象に残りました。


fukui1822.jpg

「千足杉」
 福井県丹生郡越前町寺 道路中央分離帯
 樹齢:不明
 樹種:スギ
 樹高:23メートル
 幹周:4.2メートル
>> 2018/05/30 21:12
1枚目のじっと目を凝らすとうっすらシルエットが見える感じが絶妙ですね。
しかしこうして闇夜に一部だけが浮かび上がるというのは何やら想像力を掻き立てられます。実際のところ、昼間撮られた町の公式サイトの写真よりも狛さんのこの深夜の写真の方が雰囲気いいじゃないかなんて思ってしまいました。それにしてもこの突然の出会い。狛さんが引き寄せているのか、巨樹に引き寄せられているのか。そんな不思議な力があるのかもしれませんよ。
>> 2018/05/31 08:56
to-fuさん>
それこそ、日々目で見えないと感じている実体が闇の中にあるんじゃないか……みたいな気分になりますね。
写真には写りませんが、すごく背中がソワソワしました。
昼間の写真を見ると、なるほど、と簡単に腑に落ちてしまいますが、深夜のこの樹は、昼にないそういう雰囲気を発散させていたように思います。
別のものを追っていて、突然知らない巨樹が目の前に現れる経験って、何度もあるんですよね。
向こうから呼んでいるんではないか、確かにちょっとそう感じ、見に行くことにしています。
邪霊の仕掛けた罠じゃなければいいなと思います……。笑
>> 2018/05/31 20:27
コワイ・・・(汗)。
自分だったら車内からパチリと一枚撮って逃げ出すかもしれません。
背中がソワソワしながらもこうやって写真に収めるだなんて、
恐怖よりも好奇心が勝ったんでしょうか。
それとも使命感?
でもこういう一期一会的な巨樹は残していかなければなりませんね。
昼とはまた違った姿だしこれは価値ある記録でもありますし。
名前の由来も知ると、その巨樹にまつわる歴史に思いを馳せることもできていいですね!
>> 2018/05/31 23:33
RYO-JIさん>
僕も一度は通り過ぎて、しかし引き返してきました。笑
気迫みたいなものを巨樹から感じることもありますが、この時は気配だったかな、と。
ファインダー覗いてる無防備なうちに後ろに回られてるような……。
こんな夜の姿なんて、なかなか撮ってる人いないでしょうし、というか、車で通り過ぎていった方々、驚かせてごめんなさい。
何してんだあいつ、って思ったでしょうね。
草鞋が山のように積んであったという、かつての姿も想像するとユニークです。








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