2018/06/27//Wed.
巨樹を訪ねる 藤坂のカツラ
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K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 京都府から兵庫県に入り、福井に続いての巨樹探訪。
 この日はto-fuさんに同行していただき、土地勘も活かしていただいて(笑)、順調に旅を進めます。
 兵庫県第一弾は、to-fuさんが魅せられるあまり三顧の礼を成し遂げてしまったという「藤坂のカツラ」。
 見ていただければわかる通り、もちろん只者ではありません。


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 まず、篠山市は「ささやまし」であって「しのやまし」ではありません。
 自分含め、外の地方の方には、そこから。
 兵庫県の一番西側と言っていい内陸部、京都にめり込んだような形の市です。
 かつて丹波と呼ばれた地域で、大半が森林と山の地形。
 夏暑く、冬寒い……。

 荒くれケダモノが徘徊しているということらしく(怖いね)、道路から林道に入るときには鉄ゲートを開けて入り、また閉めておく。
 先達がいなかったら立ち入り禁止だと思って引き返しそうだ……。
 林道を登るに従って傾斜はきつくなっていき、とうとう道なき道、グラグラした木の階段に。
 この20分ほどの道のりが結構キツい。
 かなり急なので、リュックが重いとひとりバックドロップしそうになるし(危)、トレッキングシューズ、ポールもあった方がいいと思いました。あと、お水。

 ハードな登坂に息を切らせていくと……
「ああ……あれです」
 告げられて、ふり仰ぐ……

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 おおお! あなたか!
 キツい傾斜が一番集約される箇所に、それをものともせず、大カツラがそびえていました。

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 書籍などの小さな写真はともかく、to-fuさんのサイトでしっかりとした写真を見ていたおかげで、自分の中でのイメージはできていました。
 そういった場合にはどうしても感動や驚きは減退するものですが、このカツラの、どうしてもふり仰がねばならない立地、身を反らして見上げた時の迫力は、やはり現地で味わうしかない特別なものだと思います。

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 幹周りは12メートルとも13メートルとも言われ、福井で見た「白山神社の大カツラ」(14.5メートル)ともいい勝負をします。
 単幹の杉の巨樹だと、1メートルの差というのは案外はっきりと感じられるものですが、カツラの場合……よくわかんないです。笑
 個体の姿形が皆違いすぎ、かつ複雑なので、全体像がすごく把握しづらい。
 これがおおよそ何メートルかなんて……「でかい」でなければ「すごくでかい」とか、そんなレベルでしかなくなってしまう。
 ひこばえが主幹を彩るように緑の葉をつけて密集していて、これもまた季節感を感じさせてくれます。

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 最初に生えていた幹が主幹であり、それを注視せよというのがオーソドックスな見方でしょうが、どれがどれだかわからない。
 最初から株立ちだった可能性もありますが、近づいて見てみるに、不朽して中心部が空洞化している様子はありませんでした。
 束になって、みっしりと結束している感じです。
 その状態で13メートルあるのだから、やはりこれは相当な巨樹と呼べるでしょう。

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 カツラを見ていていつも印象に残るのが、アンバランスなほど長く伸びる枝。
 幹ではなく、枝で樹高を稼いでしまうのがカツラの常ですが、この藤坂のカツラでも主な枝が長大に伸び、35メートルにも至っていると言います。
 しかし、中央部の枝の一本はどうやら折れた模様。

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 足元にそれがそのまま横たわっていました。
 現地の人がチェーンソーで切断するだけしたという感じ。
 こんな長い枝があそこにつながっていたのか……こりゃあ伸ばしすぎだったんじゃ? と驚くばかりです。
 しかし、折れても次を用意しているというのがカツラの戦法。
 逞しいです。

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 振り仰ぐと、鮮やかな黄緑色の水玉が視界を埋め尽くす感じ。
 ハート型できめの細かい可愛い葉っぱです。
 観察していて、このカツラの葉っぱは少し小ぶりなように思いました。
 福島の「剣桂」はもっと大きかったと思います。
 今はまだ葉っぱが育っていないのでしょうか?
 関東平野では水量が足りないのかカツラはほとんどありませんが、季節によって大きく姿が変わる樹種なので、通年通して見てみたいなとも思いました。

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 何度も書いてしまいますが、この立地がただ事ではない。
 30度くらいはあるんじゃないかという、階段やウッドデッキ状の足場を作ってくれていなかったら歩行すら困難な斜面に、カツラはものすごい踏ん張り方で立って長大な枝を広げている。

 周囲を歩いてみると、やはりその枝張りと同じくらい広範囲に太い根が張っているのがわかります。
 というか、この急斜面、明らかにこの大カツラが支えています。
 保護のためか上部には石積みをして崩落を防止してありますが、それが作られる何百年も前から、大カツラはずっとここで踏ん張っていたわけです。
 若い樹の頃は危険もあったでしょうが、運にも恵まれ、生き延びたのだと思います。

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 それがゆえの、堂々たる体躯。
 急斜面を一番高いところから見下ろしています。
 近くには沢もあって、水には困らない様子。

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 この、頭上全てを覆い尽くされる真っ正面からの対峙がやはり一番。
 山の代表であり神の遣いであると言わんばかりに後光を背負う。
 単純な大きさでは「白山の大カツラ」に軍配が上がりますが、ドラマチックさでは明らかにこっちです。
 
 なんでも、神事にこの大カツラの枝を切ってきて使うのが習わしとかで。
 地元の若い衆が「今年はお前の番じゃ、取ってこい」とか長老に命令されて、ひいひい言いながら斜面を登ってくる様を想像しました。笑
 そんな時も、「そろそろ来る頃だと思っておったぞ……」とばかり、大カツラは神々しく出迎えてくれるのでしょう。

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 解説文。
 大カツラを見ていて、周囲にカツラがほぼなく、これ単独なのはなぜだろうか……ふうむ、たいへんなミステリーに気づいてしまったのである。
 とか、さも通ぶった思考をしてるように腕組みして熟考してましたが、ここにちゃんと書いてありますね。
 篠山市ではわずか2箇所しかない。
 つまり、人為的に植えられたことで間違いないでしょう。
 斜面の崩落を防ぐためか、あるいは神事に使うためだったか。
 どちらにせよ、大カツラは両方の役割を立派に果たしてくれています。

 想像よりも険しいところだったので、一緒に行ってくれる人がいて、本当によかったです。


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「藤坂のカツラ」
 兵庫県篠山市藤坂
 樹齢:不明
 樹種:カツラ
 樹高:38メートル
 幹周:13メートル
>> 2018/06/27 21:57
白山神社の大カツラを見てすっかり心を奪われてしまったので、
to-fuさん一押しのこのカツラも気になって仕方ないんですよねぇ。
しかも更にドラマチックさではこちらが上だと・・・。
ふり仰ぐ状況だけにより神々しさがあるように感じますね。
ただ一人で行くのはちょっと躊躇しちゃいます(汗)。
だから時が来たら、名ガイドのto-fuさんにお願いすることにします(笑)。
>> 2018/06/28 09:57
RYO-JIさん>
同じカツラでも印象がかなり違いますね。
カツラは結構険しいところに生えているし、確かに誰かと一緒に訪ねた方がいい場合もあるかもしれません。
ここも結構険しかったです。もうちょっと運動したほうがいいかな、なんて。笑
しかし、そういう思いをしてでも見にいく価値はあったと感じました。
確かに、行けるのであればいろいろな季節や天候の中で写真を撮ってみたいと思いますね。
>> 2018/06/28 16:40
僕もカツラにははまってしまって色々なものを見てきましたが、仰るように10mクラスになるともう細かいサイズの差異はよく分からなくなりますね。ひこばえも含めてるの?とか、そもそもどれが幹でどこまでがひこばえなの?とかその辺結構曖昧ですし。

この方の場合、こんな険しい山奥にあるのにカツラのためだけに階段(と呼ぶにはいささか恐ろしい代物ですが)やウッドデッキが設置してあったり神事云々のストーリーがあったりと、大切に扱われている様が伝わってくるのが魅力だと思います。愛情を一杯に受けた子供は良い大人に育つと言いますが、このカツラは正に愛情を注がれながら育ったんだろうなあと。

いつでもご案内しますよ! > RYO-JIさん
>> 2018/06/29 00:03
to-fuさん>
おそらく、季節によってもサイズ変わってますよね、カツラ様は(笑)。
いつもざっくりしかできない見方が余計いい加減な感じに……。
林みたいに見えてしまうので苦手意識がありましたが、いくつか見てくると、その勢いと潤いをそのまま楽しめばいいんだなと思えてきました。

ほんと、一番頂点と言えそうなところにドンと居るんですもん、すごいですよ。
ああいうところって、やはり並みの奴じゃ土砂に押し流されて立ってられないはずです。
そういう姿が人間にも相乗効果をもたらして、あのいい雰囲気が出来上がってるのだと思いました。

カツラのことを読んでいたら、葉っぱは飴のような?キャラメルのような?醤油のような?いい香りがするとかで、乾燥させればお香が作れるそうですよ!笑
面白い、見どころの多い樹ですねえ。
庭に植えたいけど……庭に沢がないと無理か。








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