2018/06/29//Fri.
巨樹を訪ねる 安田の大杉
hyogo1821.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 篠山市の本当にはじっこに位置する「藤坂のカツラ」を訪ねてから徐々に南下し、篠山市街に近づいてきました。
 予定では篠山市の別の巨樹に向かうつもりでしたが、事情通のto-fuさんによれば、そのルート上にもうひとつ、是非見ておくべき巨樹があるという。
 しかもとても簡単に出会うことができる。
 山道や、おっかない斜面を登ったりしなくていい。道路からのアクセス0分。
 「安田の大杉」がそれです。


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 良い杉なんですよ。
 しかし、3月に訪ねられた時のto-fuさんの感想は、必ずしも良いものではなく……それゆえに逆に印象に残っていました。
 そう、お気づきかと思いますが、冒頭で書いた「アクセス0分」が問題なのです。
 to-fuさんの写真で見た時も、ああこれは……と思ってしまいました。
 
 あまりにも道路に近すぎるんです。
 道路に近いといえば、極端な話、中央分離帯に生育するヤツすらおりますが、「安田の大杉」の場合は面しているのが明らかな主要道路で、交通量がとても多い。
 すぐ近くにローソンがあるのでお昼ご飯の人たちもいっぱいいるし、道路の先では大規模な工事をやってるらしく、大型ダンプがひっきりなしに行き交う。
 撮影していても、実際常に車の気配とエンジン音が聞こえます。
 鳥の声と木々の枝が擦れる音の他は何もなく、自分のクマさん鈴が一番うるさいなあとか思っていた山中とは状況が大違いです。

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 もう一度。杉自体は見事な巨樹です。
 立派なだけに、いっそう立地が狭苦しく、どうしてこんなところに居るんだ? と思ってしまう。
 いや、どうしても何も、大杉の周囲が便利な道路として積極的に開発されていってしまったという順序なわけで……。

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 道路から通過ざまに見たりすると、単幹の大きな杉にも見えますが、周囲を回ってみると、なかなかユニークな形をしていることがわかります。
 部類としては裏杉になるでしょう。
 さほど高くない位置から突如幹を二分するくらいの太さの枝(?)が伸び始め……たかと思うや、「やっぱ自分、幹でしたワ」と思い直した風に、天を目指して立ち上がっています。
 この妙な動作によって、大枝(?)が幹に巻きつこうとしているかのような、ねじれ方向に動いていっている形になっている。
 この写真でもわかりづらいですか?

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 こういうことです!
 豪腕と言ったらいいのか、有無を言わせぬねじ曲がりぶり。
 この角度から見た絵が一番大きく見え、この杉がよくある単に大きな杉などではないことを物語っています。
 実に筋骨隆々とした姿。
 幹周囲は8.3メートルということですが、それは地上1.3メートル地点での計測であるので、その上部、明らかに力こぶと呼べる箇所では、ゆうに10メートルは超えていると思われます。

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 豪腕部のアップ。
 杉の樹皮のパターンは、複雑に形状を変える際にはこのように対応するんだな……と感心して眺めていました。

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 相変わらず道路の騒音は聞こえてきますが、そこまでひどい害は受けていないのか、樹皮の状態は良いように見えました。
 それなりの歳をとっているのか、分厚くて柔らかい大きな樹皮ではなく、固くて細かい感じになっていますが、整った表面をしています。
 目に映える苔の緑が、雨が多く、冬は雪が積もる土地の気候を伝えているかのようです。
 その水気があるから、ここでもこんなに大きく育って生きていけるのですね。

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 とはいえ、山中のふかふかした地面とはやはり勝手が違う。
 根が露出して白骨化している箇所もありました。
 本当なら、ここにも自らの落葉などでふかふかの布団みたいな層が覆っていなければならないと思います。
 
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 裏杉らしく、うねる傾向のある枝張り。
 一部は大きくしなだれて地表近くまで達しようとしています。
 緑もまだまだ濃い色をしていますが、一部の枝には枯れているところもある。
 こういう立地で人の目に触れやすいので、根回りの保護に力を入れてあげると、もっと元気になれそうです。

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 根幹部が印象に残りました。
 そういうわけで、必ずしも高い期待を抱いて訪ねたわけではありませんでしたが、僕もto-fuさんも、思ってたよりいい樹だなと、共通の感想を抱きました。
 to-fuさんとしては前回の訪問時よりもだいぶ印象が改善したらしい。
 やはり季節が夏に向かって進み、樹自体が活き活きとして見えたからではないでしょうか。

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 立地は確かにどう考えても良くない。
 他の巨樹のように長時間向き合っている気になれません。
 撮影に集中できないというのもそうですが、気が散って多くのものが読み取れなくなりそう。
 しかし、そういう騒々しい周囲環境の中でも、樹の活力が感じられればマイナスの印象を抱かずに済むし、逆に言うと、マイナスを帳消しにするくらいのものを巨樹が発しているのだと言えます。
 いや、パワースポットとか有難がって巨樹を回るシュミはないですが……笑。

 この環境を「安田の大杉」自身に訊いたらどう答えるのか……。案外、
「俺は辻の目印に植えられた樹だから、これで正しいんだ。今でもちゃんと役割を果たしてるだろ?」
 ……とか言ったりして。

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 解説文。
 「森」と呼ばれた頃からは少しまばらになって来たか……と感じましたが、まだまだ衰えていると言うべきではないでしょう。
 人の近くで生きる運命、ならば、人がより手厚く関わりを持って行かねばならないと思います。
 そのための天然記念物指定でもある。
 これからも多くの人に巨樹ここにありきと示して欲しいと願います。


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「安田の大杉」
 兵庫県篠山市藤坂
 樹齢:700〜800年
 樹種:スギ
 樹高:33メートル
 幹周:8.4メートル
>> 2018/06/30 21:35
あぁ、このスギ、覚えてます。
to-fuさんの記事見て、かわいそうな環境にいるなぁと思ったヤツ。
でもまぁ自分なんかは勝手なもんで、どこにあってどういう出会い方をしたかで印象が変わっちゃうもんだから、
その巨樹の本質が見えてないのかもしれません。
ただto-fuさんみたいに複数回通うことによって、見え方が違ったりする発見をされているようなので、
真摯に見習わないといけないと思いましたね。

写真だけを頼りに感想を述べると、うにょんと曲がった幹と苔むした根元がいいなぁと(笑)。
些細なことですが、そんなところに巨樹探訪の楽しさもあるのかなぁと。
>> 2018/07/01 20:53
RYO-JIさん>
逆に印象に残ってしまうケースでした。
地元以外だと2度目のチャンスに恵まれることが少ないので、最初の印象のままずっと引きずってしまいがちかも……。
最初の感動を大事にしたいというのと、公平な判断をしようというのと、その葛藤から、書籍などの味気ない解説が生まれるのかもしれません。
僕も、これはと思ったものは回数を重ねて、違う表情も見てみたいなと思いました。

じっと味わいながら見ていられないのは確かですが、頑張って生きて行って欲しいなと思う杉でした。








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