2018/07/07//Sat.
巨樹を訪ねる 追手神社のモミ
hyogo1862.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 奇怪、奇態、異形……巨樹が繰り出す無数のバリエーションを満喫してきましたが、ここへ来てそのいずれでもない、ド直球の巨樹が現れました。
 トップの写真でいきなり全体像をこんな風に使ってしまって、この人には構成力というものがないのかしら? と思われるかもしれませんが……まあ、この巨樹に立ち向うには足りていないのかも。
 どうしてもそう思わざるを得ない、「追手神社のモミ」。
 日本最大のモミの巨樹です。


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 日本最大のモミの巨樹。
 その幹周は7メートルをゆうに超える。
 もちろんこの予備知識は事前にあって、その姿形も写真で見た上で現地にやって来ました。
 無論、この樹がモンスターのような異形でもなければ、群衆のような合体樹でもないことも知っている。
 それでも、実物を前にした我々は驚愕の声をあげざるを得ませんでした。
 日本最大のモミとは、こんなにも「大きい」ものなのか! と。 

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 この姿形こそが、このモミのすべてです。
 何の小細工もない……ただただ巨大なモミの樹なのです。
 どの角度から見てもこの整った姿なので、それ以外に伝えるべき事柄が存在しない。
 現地でカメラを向けていても、この難しさには容易に気づきます。
 つまり、この「大きさ」=この巨樹の魅力は、写真では正確に伝えられないのでは、と。

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 それに気づいてしまって愕然としながらシャッターを切っています。
 魅力や個性がないのとは違う。
 あまりにも大きく、高く、そばに立つと息を飲むこと間違いなし。

 幹はきれいな垂直を維持して高く高く育っていますが、全域でその太さもほぼ変わっていないように見える。
 そのため、どこか人工物めいた、塔のような存在感さえある。
 プレキャスト・コンクリートで同じ形の円筒を作り、ひたすら積み重ねてみたというような……。
 鉄ではこんな直径のものは作れないだろうし……いや、コンクリートでも無理か? ワイヤーでテンションを加えれば?
 などと考えると、このバランスと造形は巨樹にしか成し得なかったのでは、とも思えてきます。
 こんなものが単幹でドン! と存在し続けているのは、考えてみるとすごいことです。

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 しかしながら、相変わらずこの樹の眺めには何のひねりもない。
 「大きく育ったモミの樹」という、それ以外の何物でもない。
 それだけのことに、ここまで困らされるとは。

 強引に例えて、塔ではないというなら、巨人です。
 形は人間と全く変わらないが、ただ、ものすごくでかい……。
 普通のモミの樹をそのままスケールアップしたこの巨樹のそばに立つと、自分の身長が30センチになったような気がして落ち着かなくなるのです。
 そうだ、そういうことなのだ、この「どうしようもなさ」は……。

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 ひとしきり撮って、同行のto-fuさんとも苦笑いを交わすしかありませんでした。
 このモミを真面目に撮ったとして……写真として出来上がってくるのは『「ただのモミの樹」に見えてしまう写真』なのではないか、と。
 この悪い予感が、残念ながら的中してしまうわけです。
 ここらだけは、十何年間カメラをぶら下げて来ただけはある、と言っていただきたいものです(きわめて不名誉)。

 そういうわけで、巨樹に大満足しながら最大限がっかりするという、それこそが異形と呼べる心境を抱えつつ振り向けば、そこには追手神社の本殿があり、とろけ途中のような愉快な狛犬サンたちがこちらを見ています。
 何ともユーモラスで、撮らないわけには行かなくなりました。

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 ゆるゆるな狛犬サンたちの造形に勇気を得て、再び振り向いて巨大モミに対峙します。
 そうだそうだ、我々にはまだ知恵もやるべきこともある!

 二人で来ていたことが、この場合の最大の武器となりました。
 そうです、秘策(でも何でもない)ヒューマンスケールです。
 巨樹探訪の相方のちっこい姿こそが、この日本最大のモミの偉大さを見る方に示してくれるはず!

 そうして交代交代に撮りました。
 どうですか!? 伝わってますか!?

hyogo1859.jpg

 なんだかちょっと疲れたので……解説文1。
 この「ただただ巨大」ということの凄さは、国指定天然記念物に相応しかったということでしょう……。
 モミは元来大きくなる樹だし、樹高的にはこのくらいのものも見たことがありますが、確かにこれは圧倒的に「大きい」のです。
  
 写真を見ていただいて、まず気になられるであろう鉄塔のごとき支柱ですが、数年前の写真には写っていなかったので、この規模の大きさにも驚きました。
 モミは自立していますが、空洞化しているということで、倒壊の被害を防ぐためにこうしたガードがあるということです。
 確かにこの巨大質量がいきなり崩壊したら……恐ろしいことです。

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 解説文2。
 「千年モミ」の別名もありますが、まあ樹齢1000年はさすがにない。
 「夫婦銀杏」もすぐそばにありますが、ほどほどの大きさで、最近ようやく環境省の巨樹リストに登録されたようです。
 巨樹あり、とろけ狛犬あり、戦国の遺構あり、奇岩あり、ハイキングコースもあり(忘れ物の片手袋もあり)。
 ヤブ蚊が襲ってこなければ、もう少し居ても楽しいかもと思える神社でした。

 つまるところ、これ以上モミらしいモミもない。
 雪の中に直立する姿もまたかっこいいに違いないと思います。
 これからもずっと高く、まっすぐ立ち続けて欲しいと心から願います。


hyogo1858.jpg

「追手神社のモミ」
 兵庫県篠山市大山宮 追手神社
 樹齢:300年以上
 樹種:モミ
 樹高:35.58メートル
 幹周:7.68メートル

>> 2018/07/08 23:10
西の狛犬氏はガハハ系ですよね。いつも笑ってる。
祭神が大山祇命でお酒の神さまですね。
狛さん、なんとなくお酒の神さまのところに行ってる気がします。呼ばれてるのかもw

このモミの木は健全な感じがすごくしますね。
比べちゃいけないんだろうけど昨年の年末あたりに揉めた神戸のあすなろの木を思い出しちゃった(´・ω・`)
クリスマスツリー=モミの木だからかな(だからあすなろの木だって)。
>> 2018/07/09 12:31
さかしたさん>
確かに、狛犬サンにどこか牧歌的というか素朴だったり原始的だったりを感じるのは関西ですね。
大山祇命は山の神様だと文字通り思っていましたが、検索してみたらお酒神の方がよく出て来ました。意外!
いやー、下戸ですしヘビーに運転するから呼ばれたら困っちゃうな。
いけるクチのto-fuさんが一緒だったからですかね。笑

ほんと素晴らしいモミの樹でした。
落雷してから痛みが出たらしく……今後もなんとかこのまま立ち続けて欲しいですね。

神戸のあすなろは可哀想としか言えない処遇でしたね。
材木として有用な樹種のもので我々が喜んでる「巨樹」認定されない規模のものは、こんなどうでもいい扱いを受けてしまう。
一本の樹の命に注目して欲しいんだったら現地で育ってるままを注目しろよ、と思う。
こんなどうでもいいことに使われてさらし者にされたように思うし、現地ですっぱり材木として最期を迎えた方が良かったんじゃねえの? とも。
邪魔だという理由で伐採されてしまった樹を持って来たという方が考えることもいっぱいある。
うーん、どうしても肩を持つことができないエグい馬鹿企画としか……どうしてこんなこと考えるんでしょうね。
>> 2018/07/09 14:50
> 狛さん
んー、すみません。お酒の神様に呼ばれたのは僕のせいでしょうね。きっと 笑
階段の下にわざわざ凛々しい狛犬が建て直されていましたが、こっちのぐでーっとした狛犬さんはあまり評判がよろしくないんでしょうか。個性があってずっと良いのに。

このモミは本当に迫力ありましたね。立ち姿はスギに似てるんですが、あの変わらぬ太さのまま柱のようにズドーンと突き抜ける様子は今までに見たどんな巨樹とも違っていました。いきなり日本一を見てしまったのでアレですが、僕もこのモミの凄さを改めて思い知れるよう、別のモミの巨樹も回っておきたいです。
>> 2018/07/10 08:28
to-fuさん>
多分、神様のターゲットはto-fuさんですよね。笑
ひとしきりモミにうーんうーんとなってから、あの狛犬サンたちは清涼剤でした。
追手神社はそういう、親しみやすい神社なのだなとキャラクター性を感じました。

本で読んでもこのモミのすごさは伝わらなかった……こう、避けられない強烈なストレートパンチみたいな衝撃があったと思います。
総合的な大きさでは杉の方が有利ですが、平均的な樹高と直立姿勢の良さではモミは優秀だと思います。見ていて気分がよくなりますよね。
そして、探してみると意外に身近にあるものです。
巨樹ではないですが、樹高30メートルはあるだろう個体が通勤途中にありました。
>> 2018/07/10 21:07
とろけ狛犬がいい表情してますねぇ。
見ていると心が和みます(笑)。

そしてモミってこんなに大きくなるんだぁと驚きましたね。
支柱の影響が見た目に大きく、捕らわれの巨人、そんなイメージです。
それでもこのサイズですから窮屈な感じはなく、本気を出せば支柱なんか吹っ飛ばせそう。
それくらいのパワーはまだまだ残ってそうだと勝手に思いました。
>> 2018/07/10 21:32
RYO-JIさん>
誇張なしに、倒壊したらあんな支えでは役に立ちませんよ! ぶっ飛ばしてドカーンです! (そうならないで欲しい)
日本一だと言われているモノのそばに行って、ああ本当に日本一だ! と清々しく思えるのって、いいですよね。
例えば富士山もそうですが、手放しにその日本一を喜べるのが嬉しい。
いつまでもそうあって欲しいです。

to-fuさんも書いてますが、別のセットの狛犬が増設されてるんですよ。
でもとろけサンも撤去されはしないという面白み。笑








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