2018/09/21//Fri.
巨樹を訪ねる 安久山の大シイの木
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K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 水気と潮気がきついであろう千葉がシイ・タブ王国であることは公然の事実です。
 知られてないだけ……というか、普通の人はあまり興味がないかもしれませんが、事実なのです。
 その中でも、ひときわ有名で巨大なシイが「安久山(あぐやま)の大シイの木」です。
 その巨大さは、シイという樹種そのものを見直すくらいのものでした。


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 千葉県匝瑳(そうさ)市は、僕の家から行こうと思えばいつでも行ける距離であり、それゆえに後回しにしていた感もあります。
 この夏、ありがたくもto-fuさんと地元の巨樹を訪ねる機会を得たので颯爽と乗り込んだ、そんな感じ。

 安久山の大シイを見るためには、小高い山の上といった感じの安久山地区にある、立派な個人宅を訪ねることになります。
 こちら、平山さんという方のお宅の庭にあり、管理される上で必要なコストとして入場料(200円)を納めることになっています。
 お寺の庭園などで拝観料を取るところもありますが、大抵は取りっぱなしで放置される感じですよね。
 しかし、個人宅でありながら、平山さんは大変熱心かつ丁寧に説明をしてくれ、しかも立派なお座敷でお茶までご馳走して頂きました。

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 大シイはお宅の裏側にあるそうで、案内頂き……うおっ!? と、思わず仰け反るような巨大な姿が現れます。
 シイでこれほどまでとは……と、戦慄する我々に対して、じゃあごゆっくり見てってください、最後に古い家もご案内します、とのこと。
 さすが自分の家の庭に巨樹を有する方、じっくり好きなだけ眺めたいという愛好家の心理をよく心得ておられる。

 実際平山さんは樹木そのものや全国の巨樹への見識も豊富な方で、巨樹探訪にとって有意義なお話をたくさん聞かせて頂きました。
 まあ、それは巨樹を見てからの展開で。
 「安久山の大シイ」を見ていきましょう。

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 シイは大きくなる樹種ではありますが、巨樹で多く見かけるのは7、8メートルのクラス。
 この樹のように10メートルというのはなかなかお目にかかれるものではありません。
 さすがのど迫力です。

 樹種別に見て、全国でもかなりの高ランクにつけるスダジイだと言えます。
 しかし、恐ろしいことに、今年に入ってから東京都島嶼地域の原生林で巨大なスダジイが次々見つかり、ランキングが大きく入れ替えになってしまうというニュースが。
 これにより、東京都が有する巨樹ランキングがほとんどスダジイランキングになってしまい、東京都はこのどんぐりの樹を都の樹にするべきなんじゃないの? などと思ってしまいました。

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 根張りが大きく、どれが主幹かもわからない。
 複数の幹が一斉に、広範囲に大枝を広げてしまったかのようです。
 もしかすると、主幹はとうに崩れ去って、副幹がこうして……という、カツラによくあるパターンなのかもしれません。

 この動きのある造形には、ある種のスピード感すら感じます。
 熱帯性の植物のように板根状に発達した根にも注目。
 これまで見てきたシイにはこのような特徴はなかったので、目を引きました。
 これだけでも人の背ほどの高さがあります。

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 何があっても動じそうにない根幹部。
 台風などによるものか、折れている箇所もある。
 また、湿気が多い土質のためか、朽ちたり、菌類や着生植物もありますが、それがどうした? と言わんばかりの猛烈な成長ぶりを感じさせます。

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 近づくと、太い枝が覆いかぶさってくるかのようです。
 巨樹ともなるとグロテスクなまでに迫力に満ちた造形になってしまうスダジイ、この樹も相当なルックスですが、なぜかそこまで不気味だとか怖いとかいう気分にはなりません。 

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 振り仰げばさながら森のようです。
 緑というよりはもっとくすんだ色に見えるのがシイの樹冠ですが、陰気さよりも力強さを感じさせます。
 鬱蒼としているけど、頼もしいような茂りぶりに感じました。

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 繁茂面積がとても大きい。
 向こうの枝は明らかにお宅の屋根の上にかかっているし、樋が詰まらないようにとか、ご苦労があるだろうなと思いました。
 いや、それにも増して、この規模の樹が存続していくというのは、やはり相当な思いやりに恵まれなければ難しいと思います。
 だからして多くは神社やお寺の御神木や霊木とされる樹なのですが、この樹は個人宅の樹。
 先祖代々、この樹を大切にするべく情熱を傾けられてきたことが伺えます。

 本当、こんな樹が自分の実家の庭に植わっていたら、人生どう変わったものか。
 樹を見る目だけでなく、いろいろな価値観が変わってしまいそうです。
 そういう環境で育たれた現管理者の平山さんは、とても気さくながら、様々なアイデアと実行力に富んだおじさんで、築130年とも言われるご自宅を改造して、大シイをドーン! と眺められる古民家ホテルにする計画を話して下さいました。
 この方あってこの樹あり。そういう気がします。

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 解説文。
 文句ない、千葉県内最大のスダジイです。
 シイ王国千葉の王者というべきか。
 平山さんからのネタバレ情報によりますと、環境省の巨樹調査隊がこの大シイをドロー……いや、この辺にしときましょう(隠す意味がない)。

 千葉県の巨樹を語る際に忘れてはならない一本。
 そう思うと同時に、身近にこんな環境、人、巨樹があったことを誇らしくも思いました。
 巨樹と人の関係……それについて良い記憶がまたひとつ増えたことが、何よりも収穫でした。


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「安久山の大シイの木」
 千葉県匝瑳市安久山 平山家
 樹齢:300年
 樹種:シイ
 樹高:20メートル
 幹周:10メートル

>> 2018/09/21 22:57
しかし本当にそちらのシイは凄いですよ。
短期間にあれだけのシイを見たのは初めてのことですが、そのどれもが強烈に印象に残っています。
(近場にあった「亀城のシイ」だけは時間の都合で行けなかったんですよね。次回こそは。)
このシイに関しては平山さんのお人柄も強烈な印象に!ですね。やはりあれだけ巨樹への想いを聞いてしまうとこちらも愛着が湧くというもので、このシイは色々見た中でもto-fu'sシイランキング1位の座に輝いています。もちろん巨樹そのものも物凄かったわけですが。

シイの面白さは、どの角度から見ても良さがあるということに尽きるのではないかと感じました。
スギもイチョウも、ケヤキだって大体の巨樹には写真を撮るならここからだろうって決め撃ち用の角度が存在しますが、シイにはそれが通用しませんでした。ここからだろう…いや、この角度もまた…なんて二人で一体この巨樹を何周したんでしょうね 笑 それだけに例のドロ…いえ、地べたからでは見えない角度まで楽しめるのかと思うとすごく楽しみです。
>> 2018/09/22 08:34
to-fuさん>
チャーシューは最後に食べるという僕のポリシーが吉と出ました。
とか言って笑、匝瑳市のシイたちはこの板根といい躍動感といい、シイの中でも独特だったと思います。

成長における旺盛さという点ではシイもかなりのものですよね。
カツラが束となって一斉に天を目指すのに対して、シイは曲線を描いて天を覆い尽くそうとしているかのようです。
カツラが陽だとするとシイは陰ですが、安久山のシイには力強い見所がたくさんありました。
下の田園を見てきて戻ってきたら、また撮りたくなりましたしね。

そうしていろんな角度から見ることができたのも、平山さんの管理の良さだったと思います。
本当にこの樹が誇らしいのだなと……いや、そりゃあそうでしょうが、平山家の代々の方がそうしてきたから、この樹が育まれたのだと思います。
僕の中でもひときわ印象に残るシイでした。

これほどでは……いや、毛色が違うかもしれませんが、「亀城のシイ」も大きさ十分で良い巨樹なので、次回の茨城入りの際にでもぜひ。
ただ、徹底的に駐車する場所がないのが悩ましいところです。笑
>> 2018/09/23 21:30
関西圏では拝めないサイズのもの凄いシイですね。
これだけのサイズだといったいどれだけ長生きしているんだろうと思いましたが、
なんとたったの300年(感覚がマヒ)ですか!
いくら大きくなる樹種とはいえ、このシイの成長スピードは目を見張るものがありますね。
確かに写真からでも陰のイメージはありません。
むしろ積極的に毎日でも見てみたい感じがしますね。
そういう意味でも、古民家ホテル計画は面白そう。
この立派なシイを眺めながら、コーヒー飲んだりお酒飲んだりできるんでしょう?
いやぁそれは素晴らしいアイデア。
ライトアップなんかしてくれたら・・・さすがに闇夜に浮かぶシイは怖く感じるかもしれませんが(笑)。
>> 2018/09/24 11:18
RYO-JIさん>
シイは温暖なところの方がいいということなんですが、やはり文化的なプライオリティがあるんだと思います。
シイやカヤの場合、食料的な重要性とかもありますよね。
すごくジメジメした土地で、しかし真っ黒な畑土のような土壌なので、栄養分はあるんだと思います。
まさにシイにぴったりな土地だったのではないでしょうか。

大きな古民家を改造して、廊下の突き当たりをガラス張りにし、ウッドデッキも作るようなことを語っておられました。
朝起きて一番にこの樹を見たら、さぞかし目が醒めるでしょう。
眺めていて飽きないこともあるし、じっくり時間をかけて楽しめるのはいいですよね。
巨樹の宿という、新しいコンセプト。笑








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