2018/10/01//Mon.
巨樹を訪ねる 天神の森
sousa1806.jpg
K-1 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 飯高寺から少し歩いた先に見ておくべきと直感が訴えるスダジイがあり、探訪して来ました。
 位置が少し分かりづらい……墓地の奥に急で長い石段があり、これがまた、巨樹があると知らなければまず遠慮したくなるような薄暗い感じで。
 登り切るとそこが目指す「天神の森」なのですが、これまた鬱蒼としている。
 どっさりとした竹林の中、よしずの間から覗くような感じで見れば、異様な姿のスダジイの巨樹がそびえ立っていました。

sousa1815.jpg

 怪しい。妖しいと言った方がいいか。
 言うまでもなく、この板根。
 熱帯性の植物でもないのに、一体、こうまで成長するのに何の理由があったのか……。
 「安久山の大シイ」でも板根が目につきましたが、もしかすると同じ血統なのかもしれない。
 板根部分は樹皮の感じも違って、ちょっと滑らかに見えるようなところもユニークです。

 環境庁のデータでは幹周5メートル強ということだったのですが、おいおい、この板根の発達ぶりからしてそれくらいで収まる? と疑わしく思ってしまう大きさです。
 いつもありがたく参考にさせて頂くすごい巨樹おじさんも、「それよりずっと大きい」と記されていますが、僕もそう思います。
 第一線に出てくる巨樹ではありませんが、パラメータを裏切ってさらに大きいという事実は、愛好家からすればとても嬉しい。
 見に来て良かったと、この時点で早くも報われた思いがしました。

sousa1808.jpg

 枝ぶりもかなり妖しい。
 各々が意思を持ったかのようにうねり、スクリューのように身をねじらせて天を仰いでいます。
 成長する上で隣の枝に接近してしまい、それを察知して急激に方向転換したかのよう。
 軟体動物的な躍動感があります。

sousa1804.jpg

 しかし、これだけ異様なフォルムでありながら、「化け物に相対している感」や、「近づいたら取って喰われる的恐怖」を感じないのは自分でも意外でした。
 やはりスダジイを陰の属性の樹だと感じるのは違いないのですが、この樹はどこか力強い懸命さを感じさせ、見ているうちに次第に好ましく感じるところがありました。
 
sousa1809.jpg

 無言のまま身体を最大限に躍動させるダンサーのような。
 そう、角度を変えれば変えただけ違う姿に見えるようなところがあり、気づけば夢中で撮っている自分がいました。
 樹を撮っているという感じがしないのです。
 微動だにしないものを撮っているというのに非常にエキサイティングで、「面白い……」とファインダーを覗きながらつい呟いてしまいました。
 一般の方からすればかなりやばい奴に見えるでしょうが、本当、フレーミングのやりがいがあると言いますか、良い被写体ぶり。
 自分がすっかり蚊のドリンクバーと化しているのにも気づかないほどでした。
 (※to-fuさんは僕よりもおいしいらしく、アイドル並の扱いを受けてました。蚊に。)

sousa1811.jpg

 先の樹だけでも結構な満足感がありましたが、ここは「森」です。
 他にも数々大きな椎があるのですが、特に目立つのは奥にあるもう一本のこの樹。

 これまた妖しい形をしています。
 これはもう、見ての通りバランスがおかしい。
 幹周囲は前のものよりも小さそうですが、大枝の規模は大きく、つんのめるような姿勢で成長を続けています。

sousa1812.jpg

 しかし、つんのめりはしない。
 どういう根の力なのか……そういえば、恐ろしい成長力を持った竹の群衆に囲まれながら平気でいるのも、考えてみればすごいことです。
 
 見上げると、枝々の格好はさらに複雑怪奇です。
 幹が横ばいになっているのに、枝は皆天に向かっている。
 それぞれが光を貪欲に求める触手となって身をひねり、這い回っている。
 
 おそらく主幹レベルでは大きく損傷した箇所があり、大枝が代わりの幹のような役割を担ったため、こんな格好になってしまったのでしょう。
 改めてスダジイのしぶとさと柔軟さを実感させられます。

sousa1813.jpg

 そんな強力なスダジイたちが光を求め続け、頭上は彼らが作り上げたドームのような樹冠に覆い尽くされています。
 これがまた、とてもよくできている。
 一見、鬱蒼と見えるほど隙間がないのに、ほとんど重なり合っている枝がない。
 最大面積、最大効率。
 この「天神の森」全体がひとつのスダジイの意思によって出来上がっていると考えて間違いないと思います。
 あのスクリューのような枝のねじれも、互いに重なり合うことを避け、明るい空を掌握するための「行動」なのです。
 身を細かくよじり、方向転換し、協調しあっているのです。

sousa1814.jpg

 森から出て遠景を眺めると、その大きさがよくわかります。
 手前にある樹木の葉が黄緑色に見えるのに対して、どこかくすんだような緑をしているのが「天神の森」、スダジイたちが種の意思で作り上げた樹冠です。
 見事な支配率。
 竹など、顔を出す隙間はありません。
 正直、この一連の探訪は、スダジイという樹種に対する印象をかなり変えてしまいました。

sousa1805.jpg

 解説文。
 名ありの単独樹を見にくる感じとは違いますが、でかいヤブ蚊に刺されるのを我慢するだけの価値はある巨樹です。
 また見に来たい……そう思う心はもちろんありますが、独りで来るとひょっとしたらコワくなるかもしれない。
 特に、あの完成度の高い樹冠の下にいて、これはもうスダジイたちの腹の中にいるのも同然なのでは? と感じてしまっては、また誰かを誘って訪問するしかないな……と思うのでした。
 道連れを。


sousa1810.jpg

「天神の森」
 千葉県匝瑳市飯高
 樹齢:不明
 樹種:スダジイ
 樹高:20メートル
 幹周:5.3メートル
>> 2018/10/02 21:17
ハーイ!
道連れに立候補しますよ~(笑)。
to-fuさんほどのアイドル性がないので活躍は期待しないでください!

天神の森という名称がすでに期待を抱かせます。
でもスタジイがワンサカ生えていると思うと、ちょっと尻込みしてしまいそうです(汗)。
ましてや墓地の奥ですか・・・、やっぱり一人では行きたくないですねぇ。

板根はほんと見事、まるで南国の湿地帯にあるマングローブ並みですね。
学術的にも貴重だそうですが、それはともかく単純に面白いなぁと思います。
枝振りもそれぞれが意志を持って成長していっている感じがして、あぁコイツらも色々考えてんだなぁとか思ってしまったり。

>> 2018/10/03 09:49
前世がどれだけ業の深い人生だったらO型として産まれてくるんでしょうね…
あの夏の一連の巨樹巡りを終えた後、腕も足も蚊に刺された痕でボコボコでした。

まさに妖樹の森、怪樹の森といった印象でしたね。
今までシイの巨樹はサイズだけ見て後回しにしてきたきらいがありますが、立体の造形物としてこんなにも面白いものなのか!と驚きましたよ。あの面白さは本やWebでたった数枚の写真を見るだけでは分かりません。本当にどの角度から見ても見応えがあるから困ったものです。こうなってくると、やはりいつかは三宅島…なんて考えてしまいます。それも山深いところに生えてるんだろうし、行くなら爺さんになる前だよな、と。
>> 2018/10/03 20:54
RYO-JIさん>
スダジイを観察するならこちらの地方へぜひどうぞ!
というスダジイとタブばっかりの雰囲気が伝わるかと思いますし、ろくにおもてなしはできませんが、いや待って、代わりに蚊が!!(嫌)

今回の探訪で見たスダジイはとても活発な感じがし、魅力的にも感じたのですが、日暮れだったりするとやっぱり怖いですね。
こういう板根のものはここだけじゃないかなと思いますね。面白いです。
本当、視力や触覚があるんじゃないかという細やかさと戦略で土地の植生を占領しつつあります。
>> 2018/10/03 21:14
to-fuさん>
超高級ハイオク血液、わかる奴にはわかる(蚊)ということです!
僕はほとんど刺されませんで……これほど違うというのもびっくりですね。
うまくないんかな、僕の……薄いのか?

確かにサイズだけ見ると素通りしがちで、この地域はでかい杉もないし、なんか地味だなあと思ってしまうのですが、シイには独自の面白みや迫力がありますね。
紛れもなく日本の巨樹の代表種だと思います。
この樹にしてもすごく躍動感があって、夢中で撮ってしまいました。
三宅島もそうですが、他の島もすごいらしいですね。
どんぐりが届きやすかったのでしょう、巨大スダジイ王国のようです。
一度、ほんと渡航して見たいですね。
巨樹はもちろんですが、島の光景や風土というのも味わってみたいものです。








ブログ管理人にのみ表示を許可する

[TOP]



ブログランキングにも参加しています。
気に入った写真や記事があったら、押していただけると嬉しいです。

にほんブログ村 写真ブログ スナップ写真へ にほんブログ村 写真ブログ 建物・街写真へ にほんブログ村 写真ブログへ
この人

狛

Author:狛
狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、
無計画な遠出の紀行文が色々あります。
いつもどこかで何かしら変なことが起きます。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」一覧


カテゴリー
最近の記事とそのほか
最近のコメント
月別アーカイヴ
リンク
道具

HDPENTAX-DFA28-105mm 
K-1 
CZ・Ultron50mmf1.8 
Distagon35mmf2.8 
MX-1 
DP2Merrill 
Pancolar80mmf1.8 
OtherCamera 
K-7 
Flektogon35mmf2.4 
DA21mmf3.2 
Sigma28mmf1.8 
FA35mmf2 
OptioA30 
Flektogon20mmf2.8 
ТАИР-11А135mmf2.8 
smc-m150mmf3.5 
EBC・Fujinon(55mm&135mm) 
smcTakumar28mmf3.5 
Travenar50mmf2.8 
smc-m50mmf1.7 
smc-m28mmf2.8 
smc-m20mmf4 
Pancolar50mmf1.8 
smcTakumar105mmf2.8 
SuperTakumar35mmf3.5 
ESPIOmini 
smcTakumar35mmf2 
Helioplan40mmf4.5 
SMC・Takumar55mmf1.8 
FujicaDate 



copyright (C) 2006 アンダー・コンストラクションズ all rights reserved. [ template by 白黒素材 ]
//