2018/11/09//Fri.
巨樹を訪ねる 光の森のカツラ
hikarinomori1801.jpg
K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 阿寒湖を取り囲むように広がる、3600ヘクタールにも及ぶ森林地帯。
 そこを管理しているのは「前田一歩園財団」という民間の団体です。
 さらに広大な国有林がその周囲を取り囲んでいますが、財団の保護林には指定を受けた案内人の同行がなければ立ち入ることができません。
 今回、「全日本巨樹・巨木林の会」のエクスカーション(野外調査)イベントに参加したことで、そこに存在する豊かな自然やシンボルとも呼べるカツラの巨樹「光の森のカツラ」を観察することができました。


hikarinomori1811.jpg

 さすが保護林というべき、豊かな自然の光景が続きます。
 この森の景色については別に書こうと思いますが、関係者の方の並々ならない努力があることだろうと感じました。
 本当に美しかった。

hikarinomori1812.jpg

 広大な森の中では、場所場所で植生が変わるようです。
 熊笹がたくさん茂ったかと思えば、色とりどりに色づく紅葉の群生があり、トドマツなどの針葉樹林もあり。
 森の中心部と呼べる辺りに差し掛かると、ポツリポツリとひときわ大きな樹が現れてきます。
 色づき始めた葉の形状、特徴ある幹の姿からも、それがカツラの大木であることがすぐにわかります。

hikarinomori1813.jpg

 よほど空気が綺麗なのでしょう、このカツラたちのゾーンに近づくと、特有の甘い香りが漂ってくるのです。
 メープルシロップに近いような甘い香り……でありながら、少しコクがあるというか、お醤油っぽいというか。
 例えるなら、パンケーキにメープルとみたらしのタレを同時にかけたような……。
 嗅いだことがない方にはちょっと疑われるかもしれませんが、そういう甘い芳香なんですよ。

hikarinomori1810.jpg

 その中で、ひときわ立派にそびえ立っているのが「光の森のカツラ」。
 最も巨大かというとそうではなさそうなのですが、樹としての姿が整っており、立ち姿が力強い。
 カツラには珍しい単幹形状の樹です。

hikarinomori1802.jpg

 カツラの場合、株立ちになってひこばえをどんどん茂らせれば、あっという間に他樹種が追いつけない規模の巨樹と化すことができます。
 が、この樹はそれを選ばなかったようです。

hikarinomori1805.jpg

 ぐるぐる回りながら眺めてみても……

hikarinomori1804.jpg

 大きく景色が変わらない、整った形をしています。
 雪の重みで折れたと思しき箇所はありつつも、全く平気そうなのはカツラの逞しさですが、それなのに樹形が暴れていないのは不思議。
 群生の中には株立ちになっているものもありますが、やはりどこか雰囲気が本州のカツラの巨樹とは違う。
 規模としてそれほど巨大にはならず、それぞれの根やひこばえの数も少ないが、太い。
 それらのうねりが大きいせいもあり、とても野生的な印象を残しました。

hikarinomori1807.jpg

 そう言えば、ここが沢ではないところも注目すべき点かもしれません。
 本州で見てきたカツラの巨樹といえば、十中八九すぐそばに水の流れがあり、その水があったからこそ大きくなれたのだと思えるものです。
 豊かで分厚い腐葉土や苔の層と、降雪から来る水量が生育の鍵を握っているように思います。

 束になって伸びている枝の先を見れば、これはカツラのイメージ通り。
 平らな土地で、しかも雪の重圧があるからでしょう、横方向に大きく枝を展開している樹はありません。

hikarinomori1803.jpg

 樹勢に特に問題はありません。健全。
 黄色くなり始めたハート型の葉っぱが美しい。

hikarinomori1806.jpg

 幹を取り巻くようにコブ状に膨れ上がったところがあります。
 何なのかはよくわかっていないとのことですが、この高さで何らかの成長阻害があったのかもしれません。

 小さな森のような姿になるカツラの巨樹を見慣れてしまい、疑いなく1本の樹として存在するカツラの評価はしたことがありません。
 まだまだ若そうですし、大きくなりそう。
 それこそ、ここからひこばえを発達させて合体して巨大化してもいいわけだし……と、生きるための手段をたくさん持っているように見えて頼もしいです。
 冬の極寒にさらされる中ではそれほど巨大にはなれないのかもしれませんが。
 
 「光の森」という名称は、木漏れ日が美しいからとも、財団の第3代園主・前田光子氏にちなんだ名前だとも。
 この日は財団側から特別に樹に触れても良いという許可が出たそうで、触れさせてもらったり、メジャーで大まかな計測をしてみたり。
 いい経験ができました。


hikarinomori1809.jpg

 「光の森のカツラ」
 北海道釧路市阿寒町 前田一歩園財団保護林内(一般非公開)
 樹齢:不明
 樹種:カツラ
 樹高:30メートル程度
 幹周:6メートル程度
>> 2018/11/09 23:31
光の森のカツラですか。まず名前が美しいですね。
単幹のカツラの巨樹というと「権現山の大カツラ」をはじめとして東北に何本か生えているみたいですが、やはり冬の寒さが影響するんでしょうかね。それぞれの幹に積雪を受けると折れてしまうから直線的にまとまりやすい、とか。いずれにしてもこちらでは見ない形状なので、このカツラの巨樹にしても不思議な感じがします。タコを頭から地面にぶっ刺したような…滋賀県のタコ杉を思い出しました。

京都にも「京都大学芦生研究林」という要ガイドの一般禁足地があるんですが、狛さんの記事を読んでいたら行ってみたくなってきました。撮影中ガイドさんを待たせるのが悪いなあと思ってましたけど、ガイド代払わなきゃいけないみたいだしまあ待たせとけばいいか 笑 やはり原生林という響きは魅力的ですねー。
>> 2018/11/10 10:24
to-fuさん>
僕としても、こういうカツラのイメージは北国という感じがあります。
雪の重みと、雪の恵みで沢以外のところにも生育できるという両条件から育まれるのか……案外ただの偶然とかカツラの気まぐれだったりして。
カツラの形態の柔軟さと、環境への適応力の高さを感じます。
ひこばえで巨大化するカツラとは全く外観が違いますしね。

京都大学芦生研究林、あの芦生杉をたっぷり見られそう……僕も行ってみたいです。
そうそう、ガイドさんは待っててくれますよ。笑
彼らはちゃんと案内するものを見てくれて話を聞いてくれるお客が大好きです。
巨樹だけでもこれほどワクワクできることを考えると、若い頃ちゃんと大学行ってこういう研究に触れていたらなあ……などとつい思ってしまいます。
巨樹じゃなくても、動物、菌類、地質学……と、日本には見所がいっぱいあるのだなあと改めて思います。
今からできるだけやればいいのか。
やりがいありますね、ほんと。笑
>> 2018/11/10 23:03
同上・・・いや、とにかく名前がいいですね。
命名した人はセンスいいですねぇ。
あっ、木漏れ日美しい説の場合ですが(笑)。

植林された山と違って、自然の森は豊かですね。
このカツラもそんな自然で育ったせいか、葉っぱが黄葉していること差し引いても美しいなぁと思う姿。
カツラのイメージとは少し違いましたが、多様性のある植物なんだなぁと感心しました。
それも北海道というスケールも気候も我々の住むエリアと大きく異なる大地の成せる技なのかもしれませんね。

一般非公開のエリアに入れるだなんて、本当に貴重な機会に巡り合えましたね。
どうやら奈良にもあるんです。
奈良公園のバックに控える春日原生林に立ち入ることができないエリアがありまして、
そこに巨樹が存在するみたいなんですよ。
申請すれば案内人付きで入れるらしいので、いつか行きたいと思ってます。
>> 2018/11/11 09:34
RYO-JIさん>
さすが北海道といった豊かな森でした。
が、これも保護林だからということなのだと思います。
針葉樹林も独自の美しさがあり、こちらも心に響くものがありました。
想像ではもっと単一的な、寒さに強い種類ばかりが目につくのかと思っていたのですが、それよりずっと多様でしたね。
カツラはその驚きの先端にいるといいますか……分布域と環境の広さは驚異的ですね。

奈良の原生林! どんな有様なんでしょう。ワクワクします。
ここはRYO-JIさんに見にいっていただくしかないでしょう。
ぜひリポートお願いします。
きっと写真の撮りがいもバシバシありますよ!








ブログ管理人にのみ表示を許可する

[TOP]



ブログランキングにも参加しています。
気に入った写真や記事があったら、押していただけると嬉しいです。

にほんブログ村 写真ブログ スナップ写真へ にほんブログ村 写真ブログ 建物・街写真へ にほんブログ村 写真ブログへ
プロフィール

狛

Author:狛
狛です。
スナップ経由の風景写真、巨樹探訪旅、無計画な遠出の紀行文が色々あります。
いつもどこかで何かしら変なことが起きます。

・巨樹探訪旅やってます。・
「巨樹を訪ねる」一覧



・11日間、2600キロ超。
 行き当たりばったり旅の紀行文・
「西日本長距離車旅」



・写真展(2013.2)・
「旅の、まだ途中」
(Web版が見られます)



カテゴリー検索と表示



最近の記事とそのほか
最近のコメント
月別アーカイヴ
リンク
道具

K-1 
HDPENTAX-DFA28-105mm 
MX-1 
DP2Merrill 
Pancolar80mmf1.8 
OtherCamera 
K-7 
Flektogon35mmf2.4 
DA21mmf3.2 
Sigma28mmf1.8 
FA35mmf2 
CZ・Ultron50mmf1.8 
OptioA30 
Distagon35mmf2.8 
Flektogon20mmf2.8 
ТАИР-11А135mmf2.8 
smc-m150mmf3.5 
EBC・Fujinon(55mm&135mm) 
smcTakumar28mmf3.5 
Travenar50mmf2.8 
smc-m50mmf1.7 
smc-m28mmf2.8 
smc-m20mmf4 
Pancolar50mmf1.8 
smcTakumar105mmf2.8 
SuperTakumar35mmf3.5 
ESPIOmini 
smcTakumar35mmf2 
Helioplan40mmf4.5 
SMC・Takumar55mmf1.8 
FujicaDate 



www.flickr.com
This is a Flickr badge showing public photos and videos from coma222. Make your own badge here.
copyright (C) 2006 アンダー・コンストラクションズ all rights reserved. [ template by 白黒素材 ]
//