2018/11/19//Mon.
秋の北海道巨樹紀行11 野付半島に陽が沈む
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K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 野付半島の先端部に乗り入れると同時に西日は急速に夕陽となり、どんどん地平線めがけて下降し始めました。
 幕引きをはかるとでも言うかのように。


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 影が濃くなってきて、なおさら吹きさらしの自然が浮き彫りになってくるようでした。
 過酷だが、一方で豊かでもある。
 賑やかな水鳥たちの群落がそれを象徴していると思います。

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 荒涼とした光景の中、ダート道ぞいに数件の水産加工会社が点在しています。
 季節なのか曜日によるものなのか、無人でした。

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 生ぬるい環境で生活している関東人からすれば「オホーツク海」と聞いただけで身が縮こまる気がしますが、この野付という僻地は、さらに風景を荒涼とさせて延々と続いている。
 いわゆる北海道観光というイメージでパッケージングしたい人は、あまり来るべきではない場所かもしれない……。
 
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 やがてダート道にも終点が来て、車を降りることに。
 ここから先は何もない。

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 自分が一体どこまで来たのかわからず、衛星に教えてもらおうと思ったけど、見てなおどこだか……ここがどこでもないような気がしました。

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 ああ……もうじき日が暮れてしまう。

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 終わってしまう……!

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 目を釘付けにされてしまうような日没の瞬間、辺り一帯に突然、すごく冷たい突風が吹き抜けました。
 耐えられなくて、背を向けて、ほとんど叫んでしまったと思う。
 この土地に来られたことを喜んでじっくり味わおうとしていたのも一転、慌てて車に逃げ戻りました。

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 これからは自分たちの時間だと主張するかのように、鹿たちの姿がグイッと前に出てくるようになってきました。
 我が物顔でこちらを見て、平気で道路を横断する。
 仕方ないので止まると、周囲を包囲されてしまった。
 じっと見てくるので、じっと見返す。 
 エンジン音しか聞こえない中しばらくにらみ合いが続き、結局つまらない奴だと思われたのか、やがてまた草原に去って行きました。

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 灯台も灯りました。
 灯台の明滅する光には何とも言えないノスタルジーを感じます。
 小さい頃よく見に連れて行ってもらった犬吠埼の灯台を思い出すのか……。
 ようやくこの光でホッと一息ついたようにも思いました。

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 ネイチャーセンターに戻ると、ちょうどお姉さんたちが鍵を閉めて出ようとしているところ。
 通行証を返し、お礼を言う。
 どうでしたか? と言うので、感動した旨伝えると、また来てくださいねと言ってくれました。

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 ナラワラもシルエットに。
 孤立した地形ですが、北海道本体とは近いので、向こうの灯りもちらほら見える。
 国後島の灯りも見えそうでしたが、その場所には人が住んでいないのか、真っ黒でした。

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 さあ、帰ろう。
 帰ろうって、どこに……?
 さあて。



10月15日(抜粋)

 釧路では結局疲れが出てしまったようで7時まで居、ホテルでありがたく朝メシをいただく。
 霧多布などの湿原を横目にしつつ走って、変な半島に行ったり、牧場でウシをからかったりしながら、尾岱沼に至る。

 野付半島。ここはものすごかった。
 どこを見ても荒涼とし、言葉では表せない凄みがある。その中に目を外らせないような美しさもあるのだ。
 あの長い砂嘴を走りつつ、何度車を停めただろうか。いくら歩き回って写真を撮っても飽きなかった。素晴らしい。
 高緯度のためか日没がとても早い。地平線に夕陽が没した瞬間、一気に冷たい風が吹き荒れ、クシャミと身震いと涙が出て、思わず後ずさった。夜が恐ろしかった。
 千年に一度の日蝕のような衝撃が、ここでは毎日襲ってくるのではないか……そう書くといかにも大げさだが、わずか数秒で世界が全く別の無慈悲なものに変貌したように感じ、その只中にたった一人で取り残されていることに気づく。
 何と言うか……言いようがないというか。これも容易には言葉にできないが、感動には違いない。
 ここだけを目標としてもまた絶対来ようと思った。自分にとって来るべきだったのだと確信できる場所だった。
 前世に何かあったのかもしれない。まあ、わかんないが。笑

 北方領土ももちろんそうだろうが、近くて遠い、日本の中の異国のような場所だった。
 実際に身を置いてみると、身近に感じるどころかその感はなおさら増したが、それゆえ魅了されてしまった。
 ここは特別だ。来ることができて本当に良かった。

(続く)
>> 2018/11/19 22:51
え~と・・・色々と唖然・・・。

いや、もう何を言っても陳腐にしか聞こえない場所、時間、景色ですね。
3枚目の写真まで、『あぁ、こういうの石狩の方でも見たなぁ。』と余裕を持って見ていましたが、
その後はもう息を呑んで凝視してしまいました。

あぁ、もう困るなぁ・・・。
こんな最果ての土地の感動すべき写真を見せられたら、こっちは何処へ行けばいいのやら(負けず嫌い)。
いっそのこと地球外へ(いや、無理)。

陽が落ちた途端、一気に孤独の世界、居てはいけない世界にいるような感覚でしょうか。
想像するだけで怖く感じます。
でもこういう心が震える体験というのは、人生で何度もないでしょうから
本当に貴重な旅だったんですねぇ。
>> 2018/11/20 08:03
RYO-JIさん>
書いたように、僕も途中までは自分の地元の河風景に似てるなと思ってたんですけどね。
やっぱりここはダントツおかしいところです。
最果てという言葉はここのためにあるんじゃないかと思いました。
「なんで」とかじゃないんですよね。いわば無条件降伏状態で心が打たれてしまいました。
もちろん、ここへ来ても寒いだけで嫌だよ! という人もいるでしょうが、僕の場合は滅多打ちでしたね。

日没したら帰ろうとは思ってたんです。暮れちゃったねえ、おしまい、とか言って。
そしたら、ビュウウウウウ! と怖い風が吹いて。慌てて逃げ出しました。
寂しいところには違いないですが、絶対もう一度訪れたいです。
素晴らしき僻地。
>> 2018/11/20 13:37
これは何だ。とても国内には思えないし、かと言って海外のようでもない。
うーん…小説のワンシーンを頭の中で映像化したかのような、現実的なんだけど非現実的な景色。
上手く言語化できないのでこの一言になってしまいます。「すげえ!」

写真の世界では忌み嫌われる、人によってはレタッチで消しちゃったりなんかもする電柱と電線ですが、この写真ではとても効いてますね。こんな最果ての地にも人の営みの気配が感じられる、何だか凄く良い写真だなと思ってしまいました。そしてわずかな工場や施設のためにこんなところまで電線を引っ張っちゃう人間って凄い。これは死ぬまでに一度は見てみたい景色ですねえ。禁止されてそうですが、こんなところで野営してみたいです。
>> 2018/11/20 20:32
to-fuさん>
言われてみれば、た、確かに。国の中の異国のようだとは言ったものの、異国のどこにこの風景があるかというと不明案件ですね……。
自然環境ももちろんそうですが、人工物を含めた景色も、ここにしかないものばかりで頭がクラクラしそうでした。
あーだのウーだの言いながら、ただ夢中でシャッターを切っていました。

僕がここを知ったのはNHKの新日本風土記だったんですが、番組では尾岱沼の漁師さんの暮らしやアマモの海の中などにも時間を割いて、半島全体のイメージがいまいち掴めなかったんです。
行ってみて、建物があるのはちょっと意外な感じもしましたが、特に夕暮れに至っては、その寂れた人工物こそが人類が滅んだ後の世界みたいな凄みをきかせて来ました。フォールアウト的な。

流石にヒグマはいないですし、誰も感知しないので野営しようと思えばできると思いますが、秋でもくそ寒いですよ!笑
俺は一体なんというところにいるんだ? と、寂しさというよりも、世界と自分の間のギャップというか、その違和感が強烈な不安に変わってくると思います。
星を撮るとか、野付半島の夜明けを撮るとか、凍結したトドワラを撮るとか、目的は絶対あるべきですね。うん。

というか、心細くなりやすい人は、この時間のこの先端部なんかはなるべく一人で行かない方がいいかもしれない。
世界に飲まれそうになります!








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