2019/02/14//Thu.
巨樹を訪ねる 雷電神社のモミ
aizu1964.jpg
K-1 mark2 / HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR

 福島県南会津町、冬の巨樹探訪も、日が傾いてきて最後の1本になります。

 ……ああ、わかります。
 写真を見て、この樹、本当に巨樹なの? って、そう思いましたよね?
 ほんとにモミという樹種は。

 しかし、こう苦情を書くということすなわち、モミの巨樹というカテゴリーにおいて「すごい樹」の高ランクに位置しているということの証。
 いや、それは全く当方の勝手な価値基準ですが。笑
 写真でわかりづらいパターン、福島県南会津町桧沢の「雷電神社のモミ」です。


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 この巨樹の所在を簡単に説明すると……前回登場させました「下塩沢の五本松」からほんの10分ほど進んだ地区にあります。
 桧沢(ひさわ)川沿いに国道289号を進むわけですが、その一本向こうに併走するような旧道?があって、住宅などが並んでいる。
 巨樹を有する「雷電神社」は桧沢小学校(中学校もくっついている)の隣なので、それを目印にするとわかりやすい。
 しかし、神社自体には駐車スペースがなく、雪解けでじゃぶじゃぶの道を行って、また戻ってきて……やっぱり停められないので、並びの公民館の人に助けを求めました。
 気持ちよく駐車場を貸してくれましたので、揚々と神社へ。
 思ったよりも参道が長く、杉並木まで有しています。

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 こちらが雷電神社。
 雷電というからには、雷ですが、祭神が何という神様であるのか……例えば武甕槌神であるのか、はたまた有名な力士の雷電為右衛門、なんてことはないでしょうが……解説がないので詳細は不明のままです。
 板金葺きの屋根が、いかにも雪国という感じがしますね。
 杉並木を従えて、御神木はさぞ立派な杉……ではなく、ここで出現するのはモミなんでした。

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 その問題のモミは、こういう風に、社殿のすぐ隣にそびえています。
 うっ、でかい……! そして高い!
 初見で思わずのけぞってしまうほどなんですが、写真ではまだ大きさがピンときませんね?
 ……いや、見て下さっているあなたが悪いわけではないのです。
 実際、撮影時から、ああー、これはいけないパターンのやつだわ、と困ってましたので……。
 じゃあ、その大きさを出来るだけ味わえるように、努力してみるとしましょう。


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 ……ね、大きいんですよ。
 しかしながら、モミ特有のあまりにも単純なフォルムにより、写真に撮ると「ただただモミを1本撮った」だけの写真になってしまう。
 ザルで水を汲むみたいにほとんどの価値を取りこぼしてしまうわけですね。
 これは、日本一のモミの巨樹である「追手神社のモミ」を撮った時にも味わった特有の敗北感(たった今「独りぼっちのクリスマスエフェクト」と命名しました)。
 お前は何も学習せず、進歩していないのだ、わははは、と、モミに見下ろされて笑われているようにさえ思います。
 だって、しょうがないじゃない……。

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 地上1.3メートル地点での幹周囲は6.7メートルにもなるという。
 モミという樹種でこの値は、全国でも第5位に当たるという……しかし、知名度はないに等しい。
 解説板もなければ、何の天然記念物にも指定されていない。
 有名な巨樹おじさんもこの意外性に触れられていましたが、確かによく利用する福島県の巨樹を載せたマップサイトやランキングにも載っていない。
 尊敬する故・渡辺センセイの名著にも掲載されていなかったはずです。

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 しかし、誇張感全くなし。
 とにかく飾り気ない形状だし、悪く言えば、他に芸がない。
 だからこそ、実測しなくても、数値が正直なものであるかどうかはすぐにわかってしまいます。
 これはまあ、まっすぐな表杉にも言えることで、杉だと「よくある話」になってしまうわけですが。

 「モミ」と書いた名札が随分小さく見えます。
 一人だけすごい巨体に育った若者がやけにちっちゃな名札をつけてるような、なんだかそんな異質感があります。
 常識はずれにこの1本が大きいという印象としては、それもまあ、外れてはいません。

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 根元には空洞になった部分がありました。
 いかにも小動物が巣を作りそう。

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 質量ある高い幹を直立させるために根張りはかなり大きくなっており、今しも神社の束石をひっくり返しそうです。
 ケヤキだったらもっと漏斗を伏せたような形に幹の下部が育ってしまうところでしょうが、モミはあくまでズドーンとまっすぐ幹を作るところが清々しい。

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 すぐそばに杉が生えていますが、モミとしてはそれを押しのけて生きている感じ。
 杉の方でもなかなか近寄りがたいというか。
 これだって、植林された貧弱な杉よりは1、2回りくらい大きいんですが、はるかに見下ろされています。

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 もちろん前述の日本一の大きさを誇る「追手神社のモミ」には届きませんが、こちらも大した巨樹ぶりです。
 ルート上近いから見ておくか、という動機でもあったのですが、これを見るために出かけたのだとしても「こいつは収穫だ!」と感じることができたはずです。
 モミの巨樹の醍醐味十分。

 今の所、樹勢も健康状態も問題はなさそうですが、この巨体に対して社殿の距離が近すぎる。
 この幹がいきなり倒壊したとしたら、雷電神社は完全に破壊されてしまうでしょう。
 最初から御神木として植えたものなのかわかりませんが、この距離感も、想定外の大きさに育って(しまった)という、スケール感を語っていると思いました。


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 マイナーなこともあり、とても良い発見をしたような気分に浸れました。
 雷電神社の参道から見える桧沢小学校は、こんな感じです。
 小学校の生徒たちなら、きっとこのモミの存在も知っているはず。
 遊び場にして、あのでっかい根っこによじ登ったりしてるんだろうな。

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 駐車場を貸してくださった桧沢公民館。
 モミをもっと贔屓にして欲しいところですが、地名がら、ひのき推しですね。
 幼少期に見かけたあの樹ほど大きなモミって、そうそう無いもんなんだなあ。
 ……なんて、子供たちも、大人になってから気づいたりするんでしょうかね。


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「雷電神社のモミ」
 福島県南会津町上福米沢 雷電神社
 樹齢:不明
 樹種:モミ
 樹高:不明(35〜40メートル程度?)
 幹周:6.7メートル

>> 2019/02/14 21:51
このモミの木も撮影者泣かせの巨樹ですねぇ。
写真の撮り方からも狛さんのご苦労が伝わってきます。
自分もそうですが、この大きさをどうやって表現しようかといつも悩んで撮ってますからね(笑)。
ズドンと伸びた幹はシュッとして見えるので、サイズ感が余計わかりにくいのかもしれませんね。
早々とヒューマンスケールが登場するのも納得です!

それでもモミの木の幹周6mクラスは、スギよりも重量感があるように思えます。
なんだろう、中身がギュッと詰まっているとでも言えばいいのでしょうか。
幹周よりもその全体の大きさ(印象)を大事にすべきなのかもしれません。

こんなのが万が一倒壊しようものなら、神社はひとたまりもないでしょうね。
もちろんそんなことはあって欲しくはないですが。
>> 2019/02/15 09:21
RYO-JIさん>
大きなモミを見に行く喜びとは、イコール困惑の体験なのだな、と思ってしまいました。
樹高がすごく高いからカメラを傾けると、変なパースもついてしまいますし、かと言って遠くからは狙えないし。
写真では限界があるなと思いますよね。
ヒューマンスケールを入れないと、魅力がほとんど伝わらない。
これも経験から我々が得た技術のひとつだなあと思わなくもないですね。うん。

確かに、スギはもう少し軽い感じかも……見慣れているせいですかね。
モミはスギよりもむしろマツに近いはずだし、材質的にも密度が高いのではないかと思います。
何より、定規を当てたようなこの垂直な姿勢は見てて気持ちいいです。
何百年と生きた巨樹も倒壊するのは一瞬なので、神社の方でもある程度覚悟がないといけないのかもしれません……。
その日が来たら、間違いなく木っ端微塵ですよ。
スペースがなくて、あの鉄塔じみた支えも作れませんしね、この場合。。
>> 2019/02/15 17:30
これは…先日同じようにモミに泣かされた者としては撮影の苦労を察してしまう1本ですね 笑
モミって誇張の類が一切通用しない樹種なので、それこそ最も撮影スキルが問われる巨樹なのかもしれません。僕はまあ、完全に敗北しましたけれど…

でも分かりますよ。これは立派なモミです。対峙するとテンション上がる奴ですよ。この1本だけ見ちゃうとただの木にも見えかねませんが、背後の人工林と比較するとスギたちが完全にマッチ棒ですから。RYO-JIさんも仰るように何となく写真からも質量とか重厚さを感じますね。これは確かにスギからは感じられないものです。樹皮の質感が効いてるんでしょうか。

そしてここは社叢も立派ですねえ。青空、社殿の屋根の朱色、モミやスギの緑…実に美しい。
>> 2019/02/16 08:48
to-fuさん>
全くもって、同じ現象が発生してしまいました。
でも、それがモミが巨樹として発達する上でベストな形なのだと嬉しくも思いました。
RYO-JIさんへのコメントでも書きましたが、ヒューマンスケールのようなある程度のノウハウを身につけておいて良かったと思います。
三脚の導入、Wi-fiなどもそうで、そう言うものが何もなかったら、ただのモミの木を撮るだけになってましたね。

単純なだけに、現場では大きさが際立って感じられる。
杉とはまた違った存在感があって、この数値でもかなり満足できる大きさだと感じるのが特徴ですね。
北へ向かうとモミも増えると思いますし、いい樹に巡り会いたいもんだと思いますね。








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